ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則。2【no.1890】

(こちらは2021年公開のコラムです)

 前回コラム(no.1889)のつづきです。

 「コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則」というテーマです。会社の「事業の柱」を目指してEコマース事業に取り組んでいく際、事業者のみなさんが悩まれる3つのポイント、「組織と人材について」「初期コストの判断基準について」「ネットショップのコンセプトについて」この3つの課題について解説しています。今回はふたつ目の課題である「初期コストの判断基準について」です。

 多くの会社さんにおいて、社内にEコマースを経験したことがあるスタッフの方がいない、もしくはEコマースを経験したことがあるけれども全体最適についての知識は多くない(部分最適、たとえば広告運用の知識はあるなど)、またスタッフさん自らの実績としてEコマース事業を成長させたことがあるわけではない、このようなケースがほとんどなのではないかと思います。どの会社さんも同じような状態にあります。

 そうなると困ってしまうのが、Eコマース事業を進める際の「判断基準」です。自分たちが選択している手段や進め方が正しいのか間違っているのか、結果がある程度ともなっていればあまり気にならないかもしれませんが、結果がなかなか出ない場合は「このままの方向に進んでいって大丈夫なのか?」と不安になることも多いでしょう。ここではEコマースの運営における判断基準というよりも、Eコマースを本格スタートする初期コストにおける判断基準について考えていきます。

 まず初期コストを判断するための考え方は、Eコマース事業をどれくらい成長させたいか、その目標が基準をつくっていきます。極端ですが、年商100億円のネットショップに成長させたい場合はそれなりの金額が、年商10億円のネットショップに成長させたい場合はそれなりの金額が、という考え方になるのですが、この部分をもう一歩深く考えるための必要なのが、現在母体となっている事業の規模や知名度ということになります。

 たとえば仮に、いま現在ネットショップのない会社さんがネットショップを立ち上げたとして、特に販促や集客をかけるわけでもなく、ネットショップにお客様がアクセスしてくれる状態になると想定されるならば強気の初期コストをかける価値があります。ある程度、デザイン性や機能性に凝ったネットショップを構築しても良いでしょう。ただ、ユニクロさんやヨドバシカメラさんなど、「ネットショップを出店した瞬間にアクセスがある」のは一部の知名度がある会社さんで、中小企業はもちろんのこと、普段はBtoBの事業をメインにしている大企業などは、「ネットショップを出店した瞬間にアクセスがある」にはならないはずです。

 つまり初期コストを判断するための大切なポイントになるのは「リアルでの知名度がどれくらいあるか」です。その「知名度」はブランド名の知名度でも構いませんし、実店舗の名前の知名度でも構いませんし、商品名の知名度でも構いません。そしてその「リアルでの知名度」をはかるために活用したいのが、「オーガニック検索」ということになります。いわゆる検索エンジンでの自然検索、Google検索やYahoo!検索です。GoogleやYahoo!の検索でお客様がブランド名、実店舗名、商品名で検索している数字が高ければ、「リアルでの知名度が高い」という判断ができるはずです。

 ただし、Eコマースのビジネスは「小さく初めて大きく育てる」が基本です。まずはスモールビジネスから始めて、インターネットという市場の中で「イケる!」と判断ができたときに、その部分に強気の投資をして事業を成長させていく。リアルの市場とネットの市場は特性が違いますから、「大きく初めて」は非常に危険です。この「小さく初めて大きく育てる」を実現するために、Eコマースの「組織と人材づくり」が重要になるともいえます。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。