ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「目標管理」と「利益管理」の仕組みをEC事業にも【no.1955】

 EC事業においても、事業成長のために必要なのは「目標管理」と「利益管理」です。

目標がなくては課題もない

 EC事業を展開するにあたって、売上を成長させなくてはならない理由は実はありません。会社としては事業を成長させる理由は大いにあります。しかし、EC事業を回す「チームと人材」は売上を成長させなくてはならない理由はないとも言えます。売上を倍にしたい、年商を10億円にしたいなどという目標がある。だからこそ課題が生まれ、その課題を解決することが必要になります。目標がなくては課題もないわけです。

 目標には中期的な目標と短期的な目標があります。長期的な目標についてはここでは割愛します。中期的な目標は3~5年後にEC事業をどれくらい成長させたいか。短期的な目標はこの1年をひと月ひと月に分解して、どのように予算立てていくかです。いずれの目標もその指標は売上で良いと思います。

 中期的な目標は事業責任者の方とECチームが一緒になって、「3~5年後、EC事業がどうなっていると面白いか」を考えられれば理想です。中期的な目標はいずれにせよ短期的な目標に落ちてきます。事業責任者の一存で決めると現場のみなさんが対応できない可能性があります。担当者・メンバーのみなさん含め、一緒になって考えるからこそ意味があります。そして目標として合意を得ることができるのです。

これまでより少し加速をつけた目標を設定する

 とはいえ、EC事業のコストバランスなどは事業責任者の方が一番詳しいと思います。また目利きも鋭いはずです。上手く説明しメンバーを導きながら決めていってください。あくまで理想、面白さを軸に決めてもらって良いと思います。ただ、短期的な目標はそうはいきません。中期的な目標が「こうだったら面白い」であるのに対して、短期的な目標は「そのためにはこうでないといけない」になります。中期的な目標が決まった時点で、ほぼ短期的な目標が決まるともいえます。

 短期的な目標に落としたときに、現状と目標とのギャップを確認する必要があります。目標づくりの難しいところは、「あまりに高い目標を設定すると単なる意気込みになってしまい、目標が目標の役割を果たさなくなる」というところです。現場も交えて目標設定をしなければいけない理由がここにあります。まずはこれまでの成長率よりも少し加速をつけた範囲で目標を設定してみましょう。動きが良ければ上方修正をすれば良いだけです。

このECは利益が出るのかを把握する

 もうひとつ。EC事業を成長させる上で目標管理とともに重要なのが利益管理です。EC事業はオフィス賃料や人件費などの「固定費」で成り立っている部分と、ロイヤルティやカード決済手数料、物流費など「変動費」で成り立っている部分があります。そして、一般的なビジネスと比べると「変動費」の比率が高い傾向にあります。

 「変動費」はある程度売上と比例してコストが増えるためリスクが少ないといえます。しかし、売上が伸びた場合コストも同様に増えるので「儲かりづらい」とも言えます。売上高・規模が小さいときから「このECは利益が出るのか」を把握する必要があります。「いま利益が出ていなければ、売上が10倍になっても利益が出ない」可能性もあります。

 そしてこの利益管理ですが、EC運用をおこなうスタッフのみなさんとも共有し、理解をしておくのが望ましくあります。「固定費」と「変動費」の違い。「EC事業において変動費にあたるものは何か」を共有しておきましょう。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。