著者:石田 麻琴

マーケティングの変化をみてEコマースを読み解く(前編)【no.1959】

 Eコマースのマーケティングの変化、というところをテーマに書いていきます。前編、後編の2回にわけてです。

 私がEコマースの業界に入ったのは2005年のことで、もう15年以上前のことになります。思っていた以上に時間が経っており、少々へこみますね。日本のEコマースの歴史という点でいうと、楽天市場がスタートした1998年ごろを指すようなので、黎明期の最後もしくは黎明期が成長期に入ったあたりでEコマースの業界に参加することができました。

 当時のEコマースのマーケティングの主流というと、メールマガジンでした。もちろん、商品の商品力自体もそうですし、画像の見せ方や伝え方のコンテンツなども重要ではあるのですが、こと「集客」だったり「販売手法」みたいなところだと、メールマガジンが売上を左右している部分が多かったんですね。もっと具体的にいうと、メールマガジンを配信できるメールアドレス数でした。この頃は保有しているメールアドレス数を増やすための広告や販促が多かった記憶があります。

 ただ、メールマガジンというマーケティング手法はやはり「お客様の手元に届くメールの数が一定数」だから効く手法であり、この手法が広がりすぎると効果が落ちてくるものなんですね。メールマガジンというマーケティング手法もだんだんと落ち着いていきます。ここで注意してもらいたいのは、けっして「廃れる」わけではないというところです。きちんと成果を検証し、ブラッシュアップを継続していれば、ほとんど手法が一定数は残っていきます。メールマガジンを「時代じゃないからダメ」とは一概に言えないというところですね。

 メールマガジンの手法が落ち着いてきた2008年ごろ。主力のマーケティング手法になってきたのが、インターネット広告でした。楽天市場のほかにYahoo!ショッピングやAmazonなど新しい販売チャネルができてきて、いかに販売チャネルの「需要と供給」を読み、インターネット広告を活用していくかがマーケティングのキモでした。

 同時期、というかもう少し遅れた2010年ごろから、ショッピングモールでのEコマースだけではなく、自社サイト(独自ドメインサイト)でのEコマースの選択肢も広がりはじめてきます。当時はいま思えばショッピングモールの規制もそこまで厳しくなかったので、自社サイトを選択する理由としては「出店費用と運用費用」というところが大きかったのだと思います。ここでもマーケティング手法として主流になったのはインターネット広告で、「Googleアドワーズ」や「リスティング広告」なんて言葉がよく聞かれるようになりました。

 2011年、2012年くらいになるとEコマースの市場の様相が変わってきます。「需要と供給」の「供給」の部分、つまりネットショップを出店する側が爆発的に増え始め、というか「需要」がある程度頭打ちになってしまったんですね。「供給」ばかりが増えるものですから、インターネット広告の効果も段々と下がってきました。お客様が「インターネット広告」が「単なる広告である」と気づき始めたのもこの頃です。東日本大震災がひとつの契機になっているかと思うのですが、インターネットのリテラシーが一段あがった時期でもあります。

 この時期にトレンドとして上がってきたのがSNS(ソーシャルメディア)でした。Twitterが2010年からFacebookが2012年から流行りはじめます。当然、Eコマースのマーケティングに活用されることも大きく期待され、「Sコマース(ソーシャルコマース)」なんて言葉もできて、SNSで集客して商品を販売しよう!みたいな動きも盛んになってくるのですが、それが本当に日の目を見るのは10年かかることになるのです・・(後編につづく)