ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

マーケティングの因数分解「アクセス数」を構成する要素【no.2028】

 インターネットのマーケティングの面白さのひとつ。それは「結果から逆算」して改善活動を展開できることです。

「アクセス数」を伸ばすのが現実的

 Eコマースの「売上の公式」を知っている人は多いと思います。「売上=アクセス数×転換率×客単価」というものです。この公式のデータ項目である「アクセス数」「転換率」「客単価」。このいずれかの数字が倍になれば最終結果である「売上」の数字も倍になります。

 逆に、売上を倍にしたい場合。「アクセス数」「転換率」「客単価」のどの数字を倍にするか。どの数字が倍にできるかを考えるのです。いずれも「1.3倍」にすることで売上を倍にする考え方もあります。(この場合1.3倍×1.3倍×1.3倍で約2.2倍になります)

 「アクセス数」「転換率」「客単価」のうち、倍になりやすいのは「アクセス数」です。「客単価」が倍になるのはペルソナ(対象顧客)を変えない限り難しくあります。WEBサイトの改善を繰り返し「転換率」を地道にアップさせる。そして「アクセス数」を伸ばし売上を成長させていく。これがECだけでなくインターネットマーケティングのセオリーです。

 そのためにも「アクセス数」をもう一歩掘り下げること。そして「どのアクセスを伸ばせそうか」を考えることが大切になります。

「無料導線」と「有料導線」の存在を知る

 「アクセス数」を構成する要素の一つ目が「無料導線」と「有料導線」です。アクセス数はお金をかけない項目と、お金をかける項目に分けることができます。EC担当者は「予算計画」「利益率」「成長速度」などの条件から「無料導線と有料導線のどちらにリソースを注ぐのか」を選択と判断するのです。

 「売上の公式」では「売上=アクセス数×転換率×客単価」という「掛け算」でデータ項目を計算していきます。しかし「アクセス数」を構成する要素は「足し算」です。「アクセス数=無料導線×有料導線」ではなく、「無料導線+有料導線」になります。「売上=アクセス数×転換率×客単価」は「売上=(無料導線+有料導線)×転換率×客単価」とも表現できるわけです。この考え方を持っているとこのコラムがより面白くなります。

代表的な「無料導線」を構成する要素

 「無料導線」を構成する要素です。検索エンジンからの検索流入は無料導線です。検索流入は商品やブランド・会社の名前を直接検索キーワードにした「直接検索」。そして、関連する検索キーワードによる「間接検索」のふたつに分けられます。(「直接検索」「間接検索」は勝手に名前をつけました)

 たとえばECマーケティング人財育成についてです。「ECマーケティング人財育成」や「EC 石田」の検索は「直接検索」。「ネットショップ マーケティング」や「Eコマース 売上アップ」の検索でのWEBサイトアクセスが「間接検索」になります。

 またSNS(ソーシャルメディア)の活用も「無料導線」を構成する要素に入ります。基本的にTwitterやFacebookやInstagramを導線として活用することは「無料」です。「SNS流入=Twitter+Facebook+Instagram」という公式が成り立ちます。

 「無料導線」のメインは「検索流入」と「SNS流入」です。そう考えれば「売上=(検索流入+SNS流入+有料導線)×転換率×客単価」の公式が成り立ちます。さらに深掘りすると「売上=(直接検索+間接検索+Twitter流入+Facebook流入+Instagram流入+有料導線)×転換率×客単価」という公式が成り立ちます。

「検索流入」と「SNS流入」以外の無料導線

 「無料導線」は「検索流入」と「SNS流入」が強いキーポイントになります。しかし、「無料導線」を構成する要素はこれだけではありません。ざざっと構成要素を挙げていきます。

 「ノーリファラー」。ほとんどのWEBサイトで多くはありませんが、ブラウザのブックマークからのアクセスやWEBサイトのURLを直打ちしてのアクセスは「ノーリファラー」の扱いになります。そして「ランキング」。ショッピングモールや比較サイトからの流入はランキングがアクセスを大きく左右します。

 そして、「口コミ/紹介」。ここまで紹介した無料導線を構成する要素とカテゴリが若干異なります。しかし、お客様からの「口コミ/紹介」は最強の無料導線です。数字としては「直接検索」や「ノーリファラー」に含まれるでしょう。それらとは別口で「口コミ/紹介」からのアクセスを管理する方法があれば素敵です。

「有料導線」はインターネットとリアルに分けられる

 アクセス数の「無料導線」に対しての「有料導線」。お金をかけたアクセス数は「インターネット広告」のイメージが強いと思います。しかし、リアルの販売促進もインターネットのアクセス数に関わってきます。

 たとえば「催事・イベント」。催事やイベントでECサイトの存在を伝えれば、やはりアクセス数に寄与します。ダイレクトメール(DM)やカタログもです。販促手段はリアルでもその受け口がネットになる。FAXやハガキを入れていてもお客様がネットに流れてくる。こんなケースは少なくありません。雑誌掲載やメディア露出もやはりWEBサイトのアクセス数に影響を及ぼします。

 もう一方はご想像のとおりの「インターネット広告」ですね。広告の種類は様々、新しい広告が日々で続けています。リスティング広告、アフィリエイト広告、リターゲティング広告、リワード広告、バナー広告、メルマガ広告、DSP広告などなど・・。いずれもお金をかけてWEBサイトへのアクセス数を増やす手段には変わりありません。

*アクセス数の因数分解をまとめてみると・・

 ここまで紹介したアクセス数の「無料導線」と「有料導線」をまとめます。売上の公式「売上=アクセス数×転換率×客単価」が以下のように変更されます。

 「売上=(((無料導線=(検索流入=直接検索+間接検索)+(SNS流入=Twitter流入+Facebook流入+Instagram流入)+ランキング流入+(ノーリファラー=ブックマーク+URL直打ち))+((有料導線=(リアル=催事・イベント+DM+カタログ+雑誌掲載+メディア)+(インターネット=リスティング広告+アフィリエイト広告+リターゲティング広告+リワード広告+バナー広告+メルマガ広告+DSP広告)))×転換率×客単価」・・みたいな・・汗

 大切なのは自社のビジネスに合った(合っていそうな)選択肢を把握すること。そして、実際に実践してみること。そして「どの数字をもっと上げられそうか」の感覚と仮説を持つことですね。上記の公式はかなりやりすぎですが、自社ならではの公式を考えてみてください。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。