AIは文系人間へのテクノロジーの開放【no.2207】
先日、とあるECの勉強会に参加した。最近は、データやデジタル全般についての勉強会に参加することが多いので、「EC純度100%」の勉強会は久々だった。勉強会には50名以上の方が参加していたが、そのほとんどがECの勉強会は久しぶりだったようだ。つまり、今回のテーマが非常に魅力的だったわけだ。
*勉強会をうけて想い出したこと
勉強会のテーマは「EC運営における生成AI活用」だ。商品名の作成、商品説明文の作成、キャッチコピーの作成、バナーの作成・・などなど、ECの主にフロントヤードの業務において、AI活用が着実に進んでいる。ただ、各人の認識や使い込みにはばらつきがあるわけだ。今回はAIを使ってネットショップ運営をしている講師をお呼びして、具体的なデモも見せてもらいながら、AIの使い方を学んでいった。
有料の勉強会なので内容については詳しくは書かない。主にChatGPTを活用しての「商品ページの作成」についての紹介説明が多かったのだが、過去にも同じような勉強会を経験したことがある気がした。それは、もう15年以上前のことだ。もちろん、当時は当然AIなど存在しなかった。ただ、同じようにツールを使ってEC運営を進めている経営者がいた。
当時、EC業界でしばしば使われていたのは「FileMaker」というソフトウェアだった。このFileMakerを使って、データベースに蓄積したデータを可視化したり、自動でメルマガを作成したりしていたわけだ。私自身はまだネットショップのイチ運営者だった時代なので、先輩方に教えてもらうことの方が多かった。
*文系の人間への世界の開放
当時から、「メルマガ作成くん」「利益可視化くん」など、作成したツールに「●●くん」と名前を付けるのが定番だった。今回の勉強会の講師も、「××くん」という名前を付けていて懐かしかったものだ。講師のこの「××くん」の説明によって、私が「あ、以前にもFileMakerでやっていたようなことだ」と何かがつながった気がした。
ただ、FileMakerでツールを作成していたときとはその有用性は全く異なる。違いを考えると、そのポイントは「言語」であるように感じた。FileMakerで「利益可視化くん」を作成していた時代は、まずFileMakerを組むための知識が必要だった。ほとんどの人にとって、FileMaker自体を組むことの難易度が高く、実は私も友人に教えてもらっていたのだが、途中で挫折した。
しかし、今回のChatGPTの場合。ツールの作成はほぼ「言語」によっておこなうことができる。出力する情報の条件や前提となる知識をChatGPTに伝えておくことによって、インプットとアウトプットを簡単に操作することが可能なのだ。当然ながら、FileMakerを組むよりははるかに簡単な気がした。なんといっても「言語=言葉」なのだ。もしかしたらある意味、テクノロジーというものが理系の人間だけではなく、文系の人間に開放される世界の幕開けなのかもしれない。
*大切なのは「取り組み方」
もうひとつ。私はFileMakerに挫折した、と書いた。ただ、当時社内で活用していたMicrosoft Accessについては、かなり勉強しネットショップの社内管理システムを構築することができていた。いたって簡易なものだが。そして、いまChatGPTを活用して新しいEC運営のツールを検討している。
なぜ自分がFileMakerに挫折したのかを改めて考えると、それは必要に迫られなかったからだ。FileMakerを勉強することが目的になっていて、FileMakerを使って「実現したいこと」「実現しなければいけないこと」がなかった。だから、挫折をした。Microsoft Accessの勉強は必要に迫られていた。そして、ChatGPTの活用も必要に迫られている感もある。興味もありますしね。
結局は何事も「取り組み方」次第。このAI活用の勉強会からFileMakerの時代を想い出し、そして「取り組み方」という本質にも気づくことができた。そういった意味でも、非常に価値のある勉強会になったわけだった。
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