ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

インターネットでつかんだニーズを、全体戦略に役立てる。【no.1087】

 インターネットで掴んだニーズは、インターネットで活用するだけではありません。インターネットで掴んだニーズは、リアルの営業でも活用することができます。

 インターネットのビジネスというと、どうしてもインターネット上だけの世界としてマーケティングを展開する雰囲気があるようです。

 ネットショップを運営していると、様々なデータを取得することができます。ネットショップのアクセス数では、どんなキーワードでWEBサイトにお客様が来店したかがわかります。販売商品の実績データを見れば、お客様がトレンドに合わせてどの商品を購入しているのかがわかります。お客様ごとの購入履歴を閲覧すると、購買パターンや顧客像が見えてきます。レビューはお客様の生の反応を確認することができます。

 これらをネットショップの次の施策を決めるための材料にするのはもちろんですが、リアルの営業にもこれらのデータを活用することができるのです。

 ひとつの例です。とあるネットショップさんでは、毎年ある時期から合格祈願のグッズが売れ始めます。「実行数値管理表」を毎日漏れなく入力していると、特定の商品が売れ始める「ある日」があることに気づくことができます。それは気候の変化だったり、イベントがある日だったり様々です。ある日ある時、絞られたお客様のニーズが一斉に動くのです。

 合格祈願のグッズがなぜ売れるか。それは受験が近くなるから。合格祈願のグッズが売れ始める時期はわかっています。合格祈願のグッズを購入する方もわかっています。合格祈願のグッズを過去に購入したお客様のデータを閲覧していると、「学校」や「塾」の関係者であることがわかります。多くの場合、届け先の住所が「学校」や「塾」になっているため、わかりやすいのです。

 ここからが問題です。では、インターネット上から「学校」や「塾」の関係者の方にアプローチをするにはどうすればいいのか、という話になります。結論から言ってしまうと、現状のインターネットでは「学校」や「塾」の関係者に能動的なアプローチをすることはできません。

 SNSのプロフィールから「学校」関係者であることを割り出していきなりメッセージをお送りしたり、外部から個人情報を購入するという方法もないこともないですが、あまり現実的だとは言えません。

 インターネットは「データを取る」「マーケティングする」「定量的な判断をする」「ニーズを把握する」これらにはすぐれていますが、ある特定のお客様を「自分から取りにいく」ことには向いていません。なぜなら、インターネットというのはユーザー主導によって成り立っているからですね。ネットショップの側は常に「受動的」な立場なのです。

 「能動的」にアプローチを仕掛けるならば、リアルの営業の方がはるかに向いています。先の事例ならば、「学校」と「塾」の関係者にインターネット上でリーチするにはどうすればいいかを考えるよりも、リアルの営業で「学校」と「塾」にFAXやDMをお送りする方が、確実で手早いのです。

 インターネット活用というと、どうしてもネットで完結するイメージを持ちがちですが、インターネットを活用することによって、リアルのマーケティングをより深く展開することができます。「うちはBtoBの会社だし、ネット関係ないから・・」という方もまだまだ多いですが、インターネット上には「潜在的なニーズ」が転がっています。

 ぜひあらゆる会社にもっとインターネットを活用いただき、「潜在需要」を「未来需要」に変えていってもらえればと思っています。

 おわり。

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。