ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

多店舗展開、ブランド展開成功のため、Eコマース事業を組織化する。【no.0332】

 ネットショップの規模別の課題「月商500万円」のフェイズ。(前回はこちら

 前回のブログでは、インターネット広告戦略の最適化のため、「いまのお客様は、なぜお客様になってくれたのか」のデータを活用する、というお話をしました。これまでネットショップを運営してきて蓄積してきた顧客データ・注文データ・アクセスデータ(参照元や検索キーワード)等を活用して、より長くお付き合いできる可能性が高いお客様を定義し、そのお客様に対してインターネット広告を仕掛ける。そんな考え方です。

 インターネット広告の戦略というと、「広告を出稿し、広告をクリックして自社のネットショップに来店してもらい、商品を購入してもらい、リピートしてもらう」というように、「外から内」の考え方で成果を検証していくのが一般的ですが、戦略を立てるときに一度、「内から外」のデータを確認して、そもそも「いまのお客様は、なぜお客様になってくれたのか」を確認することにしましょう。結果的に、「まずはクリック課金型のGoogle AdWordsからだね」という話になったとしても、これを考えた上での結論か否かで、後々の成果は確実に変わります。(もちろん、より対象をセグメンテーションできる広告を活用する際には、効果が飛躍的に上がります)

 さて、次の「月商500万円」のフェイズの課題です。この規模になると、ネットショップの運営に携わる人数が増えてきます。月商300万円のフェイズの課題で紹介したように、自社サイト・楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonなどへの販売チャネル展開をより行うフェイズです。また、例えば、靴の販売をするネットショップならば、男性専門の靴と女性専門の靴、子どもの靴の専門店というように、商材をセグメンテーションして、より訴求力の強いネットショップを立ち上げていくのも、月商300万円から月商500万円のフェイズになります。

 販売チャネルの拡大、ブランドの拡大をするとなると、管理するネットショップが一気に増えます。そのためには、各ネットショップのマーケティングができる人財が必要です。逆にいえば、マーケティングができる人財がいなくては、多店舗展開・ブランド展開は成功しません。月商300万円、月商500万円の売上を、先頭を走って作り上げてきたEコマース事業の事業責任者ひとりで、5店舗、10店舗の数字の動きを日々追い続けるのは不可能です。経験上から言えば、1人の事業責任者が2店舗の売上を見続けるのも大変です。

 それまでEコマース事業を支えてきた責任者は、次のネットショップ店長を指導、管理する側に回ることになります。Eコマース事業の組織化、それが月商500万円のフェイズの課題です。仮にネットショップを2店舗運営するならば、Eコマース事業の責任者が片方のネットショップのマーケティングを行い、もう一方のネットショップについては、ひとり専任のマーケティング担当をつける。もしくは、Eコマース事業の責任者は、どちらのネットショップの担当にも付かず、マーケティング担当を2人用意して、それぞれに1店舗ずつの担当についてもらう。事業責任者は、各々のネットショップの担当者に対して、マーケティングのフォローと指導を行う。このような体制が作れれば理想です。

 最後にひとつ、注意点です。事業責任者が1つのネットショップの担当を持つ場合(上記の前者の場合)、新たに販売チャネル展開をするネットショップの方に、事業責任者をつけることをおすすめします。例えば、それまで楽天市場をメインにしていて、自社サイトにチャネル展開をする場合。事業責任者が担当として付くのは、自社サイトの方です。楽天市場のマーケティングについては新しい担当に任せます。主軸である楽天市場の方に事業責任者を残し、自社サイトの方に新しい担当を入れたくなりますが、知識・ノウハウ・経験を持っている人間の方が新しいチャネルを開拓していくのがセオリーです。同様に、新しい担当を2人付ける場合、事業責任者は8対2で新しいチャネルのフォローに力を入れてください。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。