ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップは「インターネットで初めて存在を知る」お客様を最初は対象にしない【no.0679】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

 まずは「笹かまオニギリ」の実店舗に来店したお客様に、「笹かまオニギリ」のネットショップを知ってもらおうと考えた七海さんは、店内に貼るポップを作成しました。これで、実店舗に来店したお客様が、少しでもインターネットのネットショップを見てくれればいいなと思いました。

 次に、七海さんが考えたのは、「笹かまオニギリ」で商品を買ってくれたお客様へのチラシの封入でした。「おにぎり水産ネットショップ『笹かまオニギリ』、4月1日よりオープン」という、ポップをB5サイズにした縮小したものを、お買い物の際にお客様にお渡しするのが良いと考えたのでした。

「友花里、少しお手間をかけて申し訳ないんだけどさ。実店舗でお土産をかってくれたお客様に、このチラシ、一緒に渡してくれない?」

 七海さんは友花里さんにお願いをしました。友花里さんは嫌な顔をせず「いいよ」といって、チラシのコピーを受け取りました。

「まあ、一番お客様に知ってもらえる可能性が高いのは、チラシを一緒に封入することだもんね。協力するよ。私たちは直販のチームだしね。なんたって、ネットショップの売上も我々事業部の評価の対象になりますから」

 友花里さんはそういって、面白そうに笑いました。

 おにぎり水産の工場見学は、バスツアーの中に組み込まれています。バスツアーのスケジュールの中に、「笹かまぼこ工場見学!」というものがあり、バスツアーに参加されたお客様は、まずおにぎり水産の笹かまぼこ工場の見学をおこない、できたての笹かまぼこを食べてもらいます。バスの出発までの自由時間の間に、「笹かまオニギリ」の実店舗でお土産を買っていってくれる、という具合です。

 幸いなことに、おにぎり水産の笹かまぼこはツアーのお客様から非常に好評で、しかもできたてを食べられることもあって、見学にきたほぼ100%のお客様が実店舗に寄り、お土産だったり自分買いだったりの笹かまぼこを買っていかれます。ほぼ毎日、バス20台、500名以上の方が工場に来られるわけです。1ヵ月に1万人以上の方が「笹かまオニギリ」の存在を知ることになります。

 猪井氏(いいし)事務所の猪井氏先生と麻間(あさま)さんが目をつけたのも正にそこでした。まずは、「笹かまオニギリ」のネットショップは、「笹かまおにぎりのことをすでに知っている人」を対象にして、七海さんに試行錯誤をしてもらいつつ、販売実績を上げていこうという作戦です。「インターネットから笹かまオニギリを知る」というお客様は、まずネットショップの初期のフェイズでは自らのアクションとしては狙っていかない、ということになりました。

 どうやら、「笹かまオニギリ」の実店舗の中にぺたぺたネットショップのポップを貼り、商品を購入してくれたお客様にチラシをお渡しすることの効果があったようで、猪井氏先生に教えてもらって七海さんが毎日付けている「実行数値管理表」に変化があらわれました。チラシを配り始めた数日後から、ネットショップのアクセス数が上がり始めたのです。今までは1日10人ほどだったのが、ジワジワと数字が上がり、麻間さんとのミーティングをおこなう頃には、1日30人ほどのお客様がネットショップにアクセスしてくれるようになりました。それにつれて、受注も少しずつですが、伸びてきています。

 おにぎり水産に麻間さんがやってきました。麻間さんは七海さんに会うと、「七海さん、アクセス数に少しずつ変化の兆しが見え始めていますね」と言いました。

 七海さんは、自分が言いたかったことを先に言われて少しバツが悪かったですが、麻間さんがきちんとネットショップのことを見ていてくれたのを感じ、嬉しくなりました。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。