ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの「カスタマーサポート」担当者における改善指標【no.0373】

 「データをとって、毎日カイゼン」するための指標づくり。(前回はこちら

 第七回目です。第一弾の最終回です。ちなみに、第二弾があります。前回まで、ネットショップ運営の7つの業務について、「商品管理・商材開拓」「制作」「集客」「運営」「システム・DB(データベース)」「物流」の順番に改善指標を紹介してきました。今回は、「カスタマーサポート」担当者における改善指標について考えていきます。

目的は新しい改善・新しい需要を組織に提案すること

 まずは、ネットショップの「カスタマーサポート」担当者の仕事のおさらいです。「カスタマーサポート」担当者のミッションは、お客様とのコミュニケーションを通じて、新しい改善・新しい需要を組織に提案していくことです。お客様の相談相手になることだけでもないですし、お客様のご不便・ご不満を聞くことだけでもありません。ましてや、クレーム処理や返品・交換処理をするだけの仕事でもありません。お客様の声に隠された潜在的なニーズや市場を探していくのがミッションなのです。

 「カスタマーサポート」担当者の仕事です。お客様の電話やメールでの問い合わせに応える仕事がメインです。お客様の商品であれば、個別の問い合わせに対しての相談を受けます。商品の色やサイズ、売れ筋、おすすめなどをお客様のシチュエーションに合わせて提案することも多いでしょう。商品購入後であれば、商品の返品や交換、それに伴う返金の処理作業についても仕事になります。「カスタマーサポート」担当者が、経理系の仕事を兼ねているネットショップも多く、クレジットカードのオーソリ・決済処理や銀行振込・郵便振替の入金確認を担当することもあるでしょう。商品知識が豊富な「商品企画・商材開拓」担当者が兼務をするケースもあります。

 では、「カスタマーサポート」担当者の改善指標を考えます。

1.メールの返信率

 ネットショップの場合、メールを使った問い合わせが多く送られてきます。メールの到着から返信までの期限を設け、その期限内に返信のできたものについて、返信率を測っていきます。例えば、メールは24時間以内に返信すると決め、1週間に受信したメールで24時間以内に返信ができたものの率を取ります。これを改善指標にしていきます。返信率100%を維持できるようになったら、期限を短くして、さらなるサービス改善に努めてください。

2.メール返信の平均時間

 返信率ではなく、返信までにかかった平均の時間を改善指標にします。計測方法としては、メールを受信した時間から、返信した時間までを計算し、その合計数を返信メール数で割ります。お客様にとっては、「メールで問い合わせをしたときが、返信が欲しいとき」ですから、メールの返信は早ければ早いほど、サービス力が高いと言えるでしょう。

3.メール返信後のお客様のアクション率

 メールの返信率、返信の平均時間はともに重要な改善指標ではありますが、懸念点もあります。効率性やスピードを気にするあまり、メールの内容が質素なものになったり、テンプレートや一斉メールのようになったりして、「生きていない」メールになってしまうことです。そこで改善指標として計測したいのが、メール返信後のお客様のアクション率です。問い合わせに対して返信を行った後、注文前なら「お客様が購入してくれたか」、注文後なら「お客様はリピートしてくれたか」の情報を取得します。少々レベルが高い処理ですが、顧客データベースと受注データベースとカスタマーサポートのデータベースを連動させることで計測が可能です。やはり「次に繋がる」ことに仕事の意味があるので、アクション率、もしくはそれに近しい指標を考えてみてください。

 商材、ビジネスモデルにより様々ですが、「カスタマーサポート」担当者の改善指標について考えました。ひとまずこれで第一弾は終わりです。第二弾は、ここまでご紹介した改善指標を軸にした改善アイデアについて考えていきます。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから