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高校のとき生徒に授業をバカにされた先生がいた。しかしその授業の本質は・・【no.0547】

 高校のとき生徒に授業をバカにされた先生がいました。しかしその授業の本質は・・

 もう20年近く前のことなので記憶があやふやですいません。高校1年生のときちょっと変わった授業をする先生がいました。もう60歳に近い、お爺ちゃんの先生だったと思います。ほとんどの先生の名前は覚えているのに、この先生の名前は忘れてしまいました。仮にA先生とします。

*A先生の授業はどんなスタイルだったのか

 A先生は社会か物理かどちらかの先生でした。この先生の授業は授業というよりもテスト。毎回、授業開始と同時にテスト用紙が配られます。そして最初の30分くらいをかけて僕ら生徒が問題を解きます。その後、残りの時間がA先生による解答・解説という感じでした。

 生徒側の僕たちには「はぁ?なんだこの授業。授業じゃないじゃん。テストじゃねーか」と不満がたまっていきました。しかもA先生が用意するテストは市販の問題集を拡大コピーしたようなもの。日を追うごとに「もしかして楽してない?」という雰囲気になってきました。それでもGW明けくらいまでは真面目に取り組んでいました。しかし、次第に授業中にA先生をイジって、バカにするようになりました。

 そんなとき事件がおきました。あれは6月くらいだったと思います。生徒が親御さんに「A先生の授業って問題集のコピーだよ。なんだあれ」と告げ口をしたのです。そしてそれが保護者会で問題になりました。おそらく保護者たちが担任に強く言ったのでしょう。なんとA先生は1学期末をもって授業の担当を降りなければいけないことになったのです。(しかもその後、退職されたらしい)

*「毎回テストをし続ける」ことの価値

 最後の授業(保護者会のすぐ後)のことです。A先生は真っ赤な顔で教室に入ってきました。そして「クソー!俺の授業を踏みにじりやがってー!」と発狂して怒り続けました。その姿を15歳だか16歳だかの僕らは呆気にとられて見ていました。でも、いまでは申し訳ないことをしたと思っています。A先生にとっては35年以上培ってきた教育観を否定された気持ちだったでしょう。

 今になって思うのですが、このA先生の授業スタイルはある種正しいのではないかと思うのです。

 当時はなぜ毎回テストをおこなうのかまったく意味がわかりませんでした。しかし、社会人になって仕事を始めてからその意味がわかった気がします。実は実力を上げるための一番の方法は「テストをし続ける」ことなのです。これは、仕事でも勉強でも変わらない人生のセオリーのような気がします。

 テストをする。解答を聞いてできた問題とできなかった問題に分ける。そして解説を聞いてできなかった問題がなぜできなかったのかを確認し復習する。またテストをする。そしてできた問題とできなかった問題に分ける。さらに2回以上できないことが続いた問題は別で管理をして特に強化をする。そしてまたテストをする。(以降、永遠ループ)

*「毎日テスト&毎日成果検証」が成長を加速させる

 これを繰り返していけば、できる問題をできるようにし続けることができます。また、できない問題を少しずつできるように変えることができます。受験勉強の必勝パターンのひとつかもしれません。このようなテストをひと学期に中間テスト・期末テストの2回、年間6回おこなうよりも、毎回テストをおこなうことにより年間数十回トライアンドエラーを繰り返していく方が実力に繋がりやすいわけです。

 仕事も毎日がテストの繰り返しです。むしろ毎日がテストの繰り返しでなくてはいけません。日本でもっとも有名な経営者である通信会社のSさんの話です。起業直後、早い段階で毎日決算の仕組みを整えていたといいます。やはり「毎日テスト&毎日成果検証」が人と事業の成長を加速させるのかもしれません。

 弊社のコンサルティングは「データをとって、毎日カイゼン」をモットーにしています。A先生に謝りたい気持ちになります。たどり着いた考え方は結局一緒でした。あれから20年が経ってやっとわかったことです。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。