ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

改善活動は「市場のペース」より早く行う。まずは「競合他社のペース」を1点でも超えること【no.0564】

 「データを取って、毎日カイゼン」は最重要ですが、その改善活動が「市場のペース」より遅いとなると、持続的に事業が成長することはない、ということになります。あくまで、「市場のペース」よりも若干でも早いペースで改善活動を行うことが大切です。

 いわゆる「川の流れ」というものです。市場は常に流れています。今日市場に通用したことでも、明日には市場に通用しなくなるかもしれません。1年前に市場に通用したことで、現在すでに通用しなくなっていることはたくさんあると思います。市場(=つまり人の心)は、日々変化をしているのです。今通用する施策は、長期的に見れば、必ず通用しなくなっていきます。

 ですから、自社のサービスを改善する場合、あくまで「市場のペース」よりも早いペースで改善活動を行わなくてはいけません。少なくとも、「意識」だけはしながら仕事をした方がいい結果は生まれやすいと思います。

 しかし、問題になるのは、どうやって「市場のペース」より一歩先をいくかです。「市場のペース」を考えるのは簡単ではありません。マクロな視点とミクロな視点が必要です。

 Eコマース事業の「市場のペース」を考えるならば、ショッピングモールや各種ソリューションの動きを頭に入れなければいけませんし、CtoC系のWEBサービスの動向も押さえなければいけません。アマゾンというEコマースの強者だけでなく、セブンアンドアイという小売りの強者も気になることでしょう。日本経済はもちろん、世界経済、為替の問題・・様々な事象が「市場のペース」に絡んできます。考えたらきりがありません。

ですから、ここはまず、「市場のペース」を「競合他社のペース」と置き換えて、アプローチを進めていくのはどうでしょうか。「競合他社」に勝っていれば、「市場のペース」を上回っている、という考え方です。

 もちろん、たとえ「競合他社」に勝っていたとしても、「市場」がシュリンクしているならば、成果は思ったように伸びません。しかし、「競合他社」より「市場」を気にするのは、ごく一部の大企業だけです。日本の「市場」がシュリンクして困るのはトヨタ自動車のような大企業であって、他の中小企業は1%、0.1%、0.01%のシェアを「競合他社」からどう取るか?という話なのですから、あまり関係がありません。(といっても、自動車の中小企業は少ないですが)

 まずは「競合他社のペース」を上回るところから始めましょう。では、「競合他社のペース」を上回るためにどうすればいいのか。簡単です。「競合他社」と「自社」を並べて、「自社」が勝ちたいものを決めればいいだけです。

 サービスをスタートしたばかりの頃は、ネットショップの運営にも慣れていないわけですから多くのポイントで「競合他社」に勝つのは無理です。しかし、「勝つ」のはただ1点だけで結構です。1点だけ、目に見える形で「勝ち」を作ることができれば、それがお客様から見た「違い」ということになります。

 例えば、です。注文が入ったら、必ず1時間以内に発送する。努力次第で必ずできることです。ある特定のジャンルの商品だけは完全に品揃えをする。卸・問屋をベースにしているネットショップならばできるはずです。新入荷の商品は最速でネットショップにアップする。これも、実現できる事業者は多いでしょう。

 とにかくポイントは「競合他社」の中で「1番」を作ることです。2番、3番はいくらあってもそれほど意味がありません。なぜ1つでも「1番」欲しいか。それは、その「1番」をサービスの優先順位「1位」においているお客様に選んでもらえるようにするためです。強者ではない者の真っ当な戦略です。

 おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。