ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

インターネット担当は、「採用」ではなく「育成」でカバーする【no.0709】

 いやー、どこかにいい人いないですかねぇ~。

 と、相談いただくことがよくあります。私が独立した4年前から、ずっと定期的にいただく相談なので、やっぱりどこの会社も困っているのだと思います。インターネットの担当者です。

 自社のインターネットの取り組みとして、Eコマースをやるにせよ、WEBサイトの管理をやるにせよ、WEBメディアを運用するにせよ、担当者が必要な時代がすでにやってきています。現状、兼務でWEBサイトの管理をやっている会社も多いと思いますが、できれば社内にきちんとしたインターネットの担当者を置くのが良いと思います。

 この部分の人材の採用について、ニーズが高いのは明確です。ただ、「インターネット担当としてバリバリ自分から動いてくれる人、いないかなぁ」となると、「採用」という選択肢を使うのはなかなか難しいかなと思っています。

 ひとつは、EコマースでもWEBサービスの運用でも、インターネットの事業をひと回しした人は、意外と少ないということです。インターネット関連の仕事をしている人だと、WEB制作に精通している人インターネット広告に精通している人、システム開発・構築に精通している人などなど様々いますが、事業をひと回しするための全スキル・全業務をなめている人はあまりいません。

 いるとすれば、自ら事業を立ち上げた経営者、もしくは事業全体を管理している事業部長レベルの方になると思います。そして、経営者については会社がうまくいかない限り「転職」をすることは無いでしょうし、事業部長が会社を出るとすれば、ひとつの選択肢としては「独立」、もうひとつは同じインターネット界隈の業界への「キャリアアップ」、もしくは異業種への「CMO」「CTO」レベルでのヘッドハンティング、ということになります。

 もし、普通の会社が普通のインターネット担当を募集し採用するとすれば、インターネット関連の業務の「どれかひとつができる人」を採るのが現実的な成果になると思います。そこで、WEB制作のプロを採るか、広告・集客のプロを採るか、システムのプロを採るか、というような話になります。しかし、当然、これは「応募者が会社で働きたい」と思ってくれた場合です。

 現実的な問題として、これまでインターネット関連のキャリアを積んできた人が、とある企業のインターネット担当として就職がしたいのか、という問題があります。これは非常に難しい課題ではあると思うのですが、例えば、WEB制作の仕事を続けてきた人がお米屋さんのインターネット担当になりたいか、インターネット広告の仕事を続けてきた人が物流会社のインターネット担当になりたいか、と考えると、「うーん、どうだろう・・」となってしまいます。

 今後はインターネットの仕事を続けてきた「50代、60代」の方という層が生まれてくるので何ともいえませんが、現在のインターネットの仕事をボリュームは、ほぼ20代と30代。基本的には、「キャリアアップ」としての転職を考えるはずなので、そこで「スーパーのインターネット担当」という選択肢を取るのはなかなか難しいと思います。Uターンで地元に戻ってきた場合とかは別です。

 基本的には「小さいけれど、こだわりのあるメーカー」を選ぶのではなく、リクルートやサイバーエージェントなどの大手にキャリアアップしていくのが現実路線かなと思います。

 なので、そうとう運と縁がなければ「インターネット担当」を採用するのは無理です。社内の人間を「インターネット担当に育てる」と割り切った方がいいと思います。その方が、会社の理念が根付いていますし、商品知識もたくさん持たれているので良いです。そして、インターネットを続けていくならば、インターネットの知識より「そっち」の方がはるかに大切だったりするのです。

 おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。