著者:石田 麻琴

成功事例を気にするとネットは「失敗」します。【no.1055】

 成功事例を気にするとネットは「失敗」します。

 ネットに本気で取り組むか、否か。どれくらいのお金を投資するか。楽天市場に出店するのがいいのか、Yahoo!ショッピングに出店するのがいいのか。はたまた自社サイトでのネットショップ運営がいいのか。BtoBでのインターネット活用はどれくらい可能か。SNSは本当にビジネスに活用できるのか。やっぱりSEO対策はやっておいた方がいいのか。

*成功事例がないと取り組めない会社

 人は事例を気にします。もちろんその事例とは成功事例です。セミナーや書籍に書いてある成功事例。営業さんが紹介する成功事例。身近な仲間や知人の知人から噂で聞いた成功事例。何かしらの成功事例がないと、ネットに取り組む第一歩が出ない会社さんがあります。

 成功事例を気にし続け、安心感を得てからネットに取り組むよりも、必要なのは真っ暗闇の中で第一歩を踏み出す勇気です。

 そもそも、成功事例というのは様々な条件が重なって起こることです。たとえ会社の状況や商材が似ていたとしても、あなたのネット戦略に完全にあてはまるものではありません。会社の経営者、会社の理念、商材へのこだわり、ネットを運営する担当スタッフの意欲、スキル、すべてが異なります。

*ネットは市場を独占するビジネス

 もしも上記に挙げた条件がすべて一緒だったとしても、必ず成功事例と異なることがあります。それは参入のタイミングです。成功事例に安心感をもってからネット市場に参入するといえば、少なくともあなたの会社は「二番目」の市場参入ということになります。
 インターネットは商圏のない世界です。商圏のある世界ならば、「東京で成功している実店舗を大阪でも出店しよう」という成功事例の横展開が可能ですが、ネットでは「同じようなWEBサイトがあれば、先行して実績がある方を選ぶ」のが普通です。商圏のないインターネットは、市場を分け合うビジネスではなく、市場を独占するビジネスなのです。
 つまり、成功事例を見習うことは、そのまま失敗事例に突き進むことになります。未知の市場を探し、市場を独り占めできることがネットの特長なのです。成功事例がないからこそ、チャレンジする意味があります。

 また、ネット戦略に取り組んでいない人間が、成功事例から「ネット戦略の本質」を見出すことができるのかという問題もあります。

*大切なのは、まず世界に飛び込むこと

 当然ながら、成功事例から学ぶことができる「原理原則」もあります。その「原理原則」を学んでから、ネットに本気で取り組んだ方が効率的だという考え方をもつのもわかります。ただ、先に挙げたようにインターネットのビジネスのセオリーは、既存のビジネスとはまったく異なるのです。これをネットに取り組んでいない人間が取捨選択の判断をしたり、成功ポイントを読み取ったりすることは難しいはずです。

 ネットで「成功」するために大切なのは、まずネットの世界に飛び込むこと。WEBサイトを立ち上げてもアクセスが全くないかもしれません。商品が売れても写真と色が違うとクレームがくるかもしれません。SNSで炎上するかもしれません。ただ、そのすべてが通過しなければいけない経験です。「上手くやる」ことを考えるのは辞めましょう。(といっても、相当WEBサイトが有名にならないと、炎上なんてことはありえません。気にしているだけ無駄です)

 もし事例を気にするならば、成功事例よりも失敗事例を気にした方がよいかもしれません。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」です。失敗事例の裏にはネットの「原理原則」が潜んでいます。

 成功事例を気にするとネットは必ず「失敗」します。

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