著者:石田 麻琴

宿題の提出を「金曜の夕方」に徹底した理由。【no.0196】

 仕事は簡単には楽しくなりません。楽しくなるのは「結果」であって、実務自体は、なかなか楽しくならないものだと思います。その中でも、日々の成長をしていくためには、実践をどれくらい繰り返せるか、そこから成功への糸口を見つけることができるか、というところになると思います。やはり、結局は数なので、成長する条件って、失敗の数をいかに増やせるか、みたいな話になるんですよね。でも、仕事は面倒、失敗はつらい。それを乗り越えるためには、習慣をつけてカバーするしかないわけです。

*「やれるときにやる」はルールを形骸化させる

 まず、決めるべきなのは「型」です。毎朝10分間のミーティングをする。1週間に1度は、ランチをスタッフと一緒に取る。週の会議では、1人1つはアイデアを出す。たとえ、議題がなかったとしても毎朝10分間の時間は取る。たとえ、同じ人と食べる回数が多くなってしまってもスタッフとランチを食べる。くだらないアイデア、ちょっとズレたアイデアでもいいから、1つは意見をいう。そこからのルール化のスタートでまったく問題ないと思います。

 むしろマズイのは、「やれるときにやる」という姿勢。時間があればミーティングをする。できたらスタッフとランチする。意見があれば、アイデアを出す。「やれるときにやる」という姿勢は、逆にいえば「やれないならやらなくてよい」という考え方につながります。時間がなかったら10分間ミーティングはやらなくてよい。忙しければスタッフとランチしなくてよい。アイデアがなければ、発言しなくてよい。「やれるときにやる」は、ルールを曖昧にし、形骸化させます。そして、最後には誰も信用しなくなります。やはり、まず決めるべきなのは「型」であり、「型」への妥協は転落への第一歩になってしまうわけです。

*「金曜の夕方までに」ではなく「金曜の夕方に」

 ここでひとつの例です。弊社のクライアントさんで、遠方の会社は、月に何度も訪問することができません。できれば月に1度、2度、訪問できれば良いのですが、年に数度になってしまうのが現実です。したがって、コンサルティングの宿題の提出は、メールやグループウェアを使って行うことになります。とあるクライアントさんのコンサルティングの場合ですが宿題の提出を「毎週金曜の夕方」と決めていました。

 弊社がクライアントさんに、メールで宿題を出します。その宿題の提出を、クライアントさんは翌週の金曜の夕方に行います。宿題の内容をみて、弊社は金曜の夜、もしくは土日中に、クライアントさんに次の宿題を出します。そして、次の週の金曜の夕方に宿題を提出してもらうわけです。宿題の提出は、「金曜の夕方までに」ではありません。「金曜の夕方に」です。実は、ここがポイントです。

 宿題の内容は簡単なものからスタートします。たとえば、「あなたの会社が大切にしているものは何か。できるだけたくさん書き出してください」こんな宿題があります。このくらいの宿題であれば、月曜の午前中にチームでミーティングをして、内容をまとめれば、月曜の夕方には課題の提出ができそうなものです。しかし、課題の提出は必ず「金曜の夕方」でなければいけません。宿題が早く終わっても、寝かせておくか、新しいことを思いついたら加えるかして、「金曜の夕方」を待つわけです。

*まず「型」を徹底する習慣をつける

 宿題はだんだんと難しくなります。仕入れマニュアルの作成や、商品管理エクセルの作成、在庫過多商品の削減目標とその計画など、どんどん進化していきます。繁忙期にあたってしまうと、金曜の夕方までに課題が終わらない場合もでてきます。それでも、課題の提出は「金曜の夕方」なのです。「ここまでしかできていません」「すいません。手をつけられませんでした」「内容が薄いかもしません」。どんな事情があろうとも、課題の提出は「金曜の夕方」です。まず「型」を徹底する習慣をつけるのです。

 これが、「金曜の夕方」提出という期限を作らず、終わり次第」提出というルールにしていたらどうでしょう。序盤の簡単な内容のうちは1日や2日で宿題が返ってきますが、内容が難しくなったり、当初のモチベーションが下がったりすると、宿題の提出が1週間後になり、2週間後になり、1ヵ月後になり、最後はこちらが指摘しないと提出すらされなくなります。「やれるときにやる」を良しとしてしまうと、こうなってしまうのです。

 私などその代表ですが、人間はみんな「ナマケモノ」です。成長に伴う痛み(面倒、つらい、怖い、不安)に耐えるには、習慣をつくるしかありません。そして、習慣をつくるために、まず決めるべきなのは「型」です。「やれるときにやる」は、「やらなくなる」ことの第一歩なのです。