ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「違い」をつくって、「違い」に共感してくれるお客様をひたすら探す【no.0940】

(2016年ECMJコラムのリライトです)

 「違い」をつくって、「違い」に共感してくれるお客様をひたすら探す。探す努力をする。これが大切だと思います。

 こんな話がありました。

 ご当地の限定商品を主に扱っているネットショップです。ご当地の限定商品は種類に限りがあります。1,000商品、2,000商品と、取り扱いアイテムを増やし続けることができません。メーカーさんにとっても、ご当地の限定商品を発売するのは「プロパーの通常商品が売れた後」というのが通例になります。そのため、ネットショップで販売する商品数を確保するためには、この「通常商品」で商品数を補わなくてはいけません。

 通常商品は悪くいえばどこにでも置いてある商品です。同じものをインターネット上で探すと、いくつものネットショップが検索にヒットします。「違い」がない商品です。しかし、通常商品には「違い」がなかったとしても、お客様がたくさんいるのもまた事実です。とりあえずネットショップに掲載しておけば「ポツポツ売れていく」商品ではあります。さらに、ごくたまに100個単位で売れる「大ヒットアイテム」が通常商品から出てくることもあります。

 ネットショップでこれから通常商品をどう取り扱っていけばいいか。そんな議題でした。

 もちろん自分たちのネットショップではご当地の限定商品を軸にして「違い」を作っていきたい。ただ、商品数を補うためには通常商品を入れていかなければいけない。通常商品を入れる仕事が増えると、どしても限定商品の仕入れがおろそかになる。しかし、通常商品の安定的な売上、たまにある大爆発も捨てがたい。そんなジレンマです。

 セオリーとしては、「違い」をもっと強化し、「違い」に共感してくれるお客様をもっと集める努力をしましょう、ということになります。

 目先の売上だけを考えれば、通常商品を入れる方が無難です。もしかしたら一時的にヒットが生まれ、大きな売上が入ってくることもあるかもしれません。ただ、通常商品に頼ると「違い」は失われます。誰でもできることからは「違い」は生まれません。最終的には、資本力のある会社がすべてを持っていってしまいます。サービスを広げると負けます。

 サービスは広げるのではなく、掘り下げるものです。ご当地の限定商品の取り扱いが「違い」ならば、ご当地の限定商品を増やすことに徹底する。既存の取引先や展示会ではなく、汗を流して「違い」を探しにいく。安易に通常商品に逃げないことが大切です。

 また、サービスを広げて、広いお客様を獲得するのではなく、掘り下げた「違い」を絶えず発信し続けることで共感してくれるお客様を探す。インターネットを使った空中戦、人と膝をつけ合わせて話す地上戦、両方で汗を流し続けることが大切だと思います。

 この選択は簡単です。「誰でもできる方にはいかない」というだけです。「人が嫌がる方を選ぶ」も同義です。誰でもできる方にいかなければ、それだけで「違い」が生まれます。「誰でもできる方」は誰でもできるので、そこに差別性は生まれません。人はなんだかんだ理由をつけて「誰でもできる方」にいこうとしてしまう生き物です。ここが勝負の分かれ目です。

 「違い」を絞った中で、新しいお客様を探し続ける。サービスを広げてお客様を増やすのは簡単ですが、成功したとしてもあくまでそれは一時的なものです。「自分を動かす」のではなく、「他人を動かす」にはどうすればいいかを仕事の中心として考えていきたいものです。いかに他人に動いてもらうか、これが本質ではないでしょうか。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。