ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

自社サイトは「自分たち」ではなく「お客様」のメリットを考えて展開する【no.1011】

 先日、久々に参加させてもらった勉強会で、とても腹に落ちた話がありました。

 勉強会のテーマは「自社サイト」でした。楽天市場やYahoo!ショッピングなど、ショッピングモールを中心にネットショップを運営してきたけれど、自社サイトにもっと力を入れたい。できれば、ショッピングモールよりも自社サイトの売上をアップさせたい。そんな勉強会です。

 最初に「自社サイトのメリット」という点で、自社サイトの運営に長けている経営者さんが10分ほど話してくれたのですが、それが非常に「自社サイトの成功の秘訣(逆にいえば失敗の理由)」を端的に説明していて面白かったのです。以下です。

 まず、自社サイトをおこなうことにはふたつのメリットがあります、と。ふたつのメリットがあるんだけれども、ほとんどのネットショップ事業者はそのうちひとつのメリットばかりを見ているので、自社サイトがうまく回っていかないんだと思う、というのですね。

 その「ひとつのメリット」は、自社にとってのメリット。ここでいう「自社」とは「自社サイト」のことではなくて、「事業者」「会社」の意味。つまり、自社サイトを運営する、自社サイトの売上を上げることによって、自分たちにどんなメリットがあるのか、ということ。

 例えば。自社サイトを運営することで、ショッピングモールに支払っていたコストを削減することができます。ショッピングモール(仮に楽天市場)で月商1,000万円を売っているとするならば、自社サイトで同じように月商1,000万円を売ることができれば月々50万円以上多く利益が残るようになります。そんな話。

 例えば。自社サイトを運営することで、会員登録をしてくれたお客様の顧客リストを自社の規定で自由に扱えるようになります。基本的にショッピングモールの規約は、自社のネットショップで購入してくれたお客様も「ショッピングモールの顧客リスト」になります。なので、持ち出し不可、ショッピングモール外使用不可なんですね。自社サイトで会員を獲得すれば、DMもお送りできるようになります。そんな話。

 ただ、これらは「自分たちにとってどんなメリットがあるか」という話なんですね。どこか「自社サイト論」というのは自分たちの視点から入っていってしまっている。だからうまく前に進まなかったり、成功に近づかなかったりするのでは、という説明でした。

 じゃあ、自社サイトを運営していく上で考えていきたい「自社にとってのメリット」ともうひとつは何か。それは「お客様にとってのメリット」ということになります。自社サイトでEコマースを展開していく上で、「自社にとってのメリット」を考えるだけではなくて、「お客様にとってのメリット」をしっかり意識していきましょう。その先に「自社サイトの成功」が待っているんじゃないですかね。そんな話でした。

 まずは自社サイトにすることによっての「お客様にとってのメリット」を考えて、それを実践されていってください。さらに「お客様にとってのメリット」を考えて、改善を重ねていってください。ということだったのですが、これが非常に腹に落ちました。確かに、「自社サイトを展開したい!」と思ったとき、その理由は「自分たちにとってのメリット」だったかなと。

 逆にいえば、自社の販売している商材について「お客様にとってのメリット」がショッピングモール(や現状のシステム)で提供できる場合、無理に自社サイトを頑張る必要もないんですよね。また、自社サイトで「お客様にとってのメリット」を提供できるだけのシステム改善ができない場合、これも自社サイトをわざわざ頑張る必要はないわけです。

 おわり。

 

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。