ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

アウトソーシングすれば、物流費は抑えられるのか。【no.0336】

 ネットショップのあるあるストーリー、その壱つづき。(前回はこちら

「それはないと思いますね」

 二子(にこ)社長は鬼切社長の発言に被るくらいの勢いで、鬼切社長の意見をきっぱりと否定しました。

「なんでですか?もしかしたら物流費が39%以内でおさめられるかなと思ったんですが」

「答えは簡単ですよ。物流をアウトソーシングするとなると、いま我々の物流費にはかかっていない『保管料』がかかることになるからです。単純にこの金額が上乗せになるから、その分、物流費が上がる、というわけです」

「じゃあ、仮に保管料がかからないとしたら、アウトソーシングすることで物流費が抑えられるってことはあるんですかね?」

「うーん。それもないかなと思います。配送料金、人件費、資材費のうち、たとえ物流をアウトソーシングしたとしても、配送料金と資材費はそう変わらないと思います。問題は人件費なんですが、我々が扱っている商材は『笹かまぼこ』だけですからね。パートさんが効率的に作業できる可能性が高いです。先ほどは、1時間に20コの発送でイメージしましたが、30コ40コの発送も可能になるかもしれません。それでも、パートさんの時給は1,000円で一定です。アウトソーシングの場合、発送個数によって金額がかかるので、1件あたりの発送金額は、自社で物流を行った方が抑えられるはずです」

 鬼切社長は二子社長の理論立った話を聞いて、自然に「なるほどー」と唸っていました。

「まあ、自社の物流が効率的でないなら、アウトソーシングの方が良いかもしれないですけどね。そこも、結局、少しずつ改善していくしかないですからね。あと、もし、明確な繁忙期があって、人手が大幅に足りなくなるのが見えているならば、その期間だけアウトソーシングを利用するのもいいかもしれません。アウトソーシングのそういう活用の仕方もアリだと思いますよ」

「そうなんですね。アウトソーシングをスポットで活用するという方法もあるのか・・」

 鬼切社長は、手帳にメモをしました。「アウトソーシングはスポットでも活用できる」と。

「二子社長、じゃあ、変なことをお聞きしますけども、一番物流費の比率で高い配送料金をなんとしても下げたいとしたら、なんか裏ワザとかあるんですかね?物流の会社さんに交渉するしか、方法はないんでしょうか」

「まあ、価格の交渉をするという手はありますね。発送の件数が多いならば、これくらいの金額にして欲しいとお願いする余地はあると思います。ただ、価格交渉というのは、あくまで相手が了承しないと実現しないことです。できれば自分達のコントロールが利くところで、どうにかしたいですよね。方法はないわけでもないですが」

「えっ、二子社長、そんな裏ワザがあるんですか!教えてくださいよ。ぜひ!ぜひ!」

 鬼切社長はテーブルに身を乗り出して、二子社長に懇願しました。テーブルに鬼切社長のお腹がぶつかった勢いで、ビールジョッキが傾きかけました。

「まあまあ、鬼切社長、落ち着いてください。そんな『裏ワザ』みたいなものじゃないですよ。れっきとした、ネットショップの運営理論のひとつですよ。じゃあ、まず、鬼切社長、考えてみてくださいよ」

「いやー、何ですかね。想像がつかないですが、全部メール便で送るとかですかねぇ。それとも、1回で2つを送って、住所が近い人同士で分けてもらうとか。そうすれば、2人の方の注文に対して、配送料金は1回分で済みますよね」

「違います。そもそも、宅配便を選択したお客様にメール便でお送りするわけにはいきませんし、2人分を1個口で送って、配送料金を1回分で済ませるって、なんですか、その方法は。すごいファンタジー回答ですね。はっはっはっは」

 二子社長は鬼切社長の回答に、思わず大きな声で笑ってしまいました。

「二子社長~早く教えてくださいよ~」

「わかりました。わかりました。どういうことかと言いますと・・」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。