ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

インターネット専業の会社は、どうやって発送作業をしている?【no.0333】

 ネットショップのあるあるストーリー、その壱つづき。(前回はこちら

 二子(にこ)社長が話を続けます。

「また、ここまでをおさらいしてみましょうか。おにぎり水産ネットショップの目標売上である年商1億円を100%とすると、想定している利益が2,000万円で20%商品原価率が35%という計算でした。残りが45%ですね」

 鬼切社長が頷きます。

「物流費について説明をしてきました。まず、配送料金、これまでのおにぎり水産ネットショップの笹かまぼこの売り方だと、年間に10万セットを発送することになります。これにかかると思われる配送料金が3,000万円でした。年商1億円に対する30%でしたね。そして、パートさんアルバイトさんの人件費が約500万円なので、だいたい5%です。ダンボール等の資材も、10万セットの発送をするとなると、1件40円だとしても、年間400万円。4%ですね。合計すると、どのくらいですかね?」

 「ええと・・」。鬼切社長は使い慣れていないスマートフォンの電卓アプリで、ひとつひとつの項目の足し算を始めました。

「20%、たす、35%、たす、30%、たす、5%、たす、4%で、94%。ってことは残り6%ですか。どう考えても超過ですね。せめてこの配送料金の30%がなんとかなればいいのに」

 鬼切社長は渋い顔をして、二子社長の方をみました。二子社長は、「まあまあ」という顔をします。

「まあ、実際の対策はここの場での議題ではないですから。物流費について、配送料金、人件費、資材費の他に、あともうひとつありましたね。覚えていますか?」

保管料・・とかおっしゃってましたよね?でも、おにぎり水産やにこにこ水産さんには、あまり関係がないとか、ゆうてましたよね」

「そうですね。我々のように、元々倉庫を持っていたり、工場を持っている会社は、原材料や商品を保管しておくスペースがありますからね。ある意味、ネットショップのために敷地を増やさないないならば、保管についてはお金がかからないと言えますね」

「ちょっと他のネットショップをやっている会社と付き合いがないもんですからわからないのですが、逆に保管料がかかる会社さんってのもおられるのでしょうか?」

「もちろん、いますよ。そういう会社さんの方が多いくらいかもしれません。保管スペースを持っていない会社さんは、インターネット専業の会社さんが多いですね。元々、商品の製造やメーカー、卸、実店舗などの小売業をやっていたのではなく、インターネットで商品を販売するため、つまりネットショップだけをやられている会社さんですね」

「なるほど、ネットショップだけをやられている会社さんなら、ネットショップのためだけに倉庫を借りなくてはいけないと。二子社長、興味本位なんですけど、そういうところってどうやって発送作業をしているんですか?」

「あまり注文がないうちは、オフィスの中で発送をしているんだと思います。家電や家具など、保管に広いスペースが必要な商材については、最初からどこかの倉庫を借りたり、発送を外注したりしなくてはいけないみたいですね。オフィスの中で保管と発送ができる物量のうちはオフィスで作業を行い、物量が増えてきたら、倉庫を借りてそちらで作業を行うか、アウトソーシングをすることになるんでしょうね」

「二子社長、ちょっと今の話を聞いていて思ったんですが、先ほど、配送料金が30%で、人件費が5%で、資材費が4%で、合計39%だという話があったじゃないですか。あれって、おにぎり水産の中で発送するということが前提だったかと思うんですが、物流自体をアウトソーシングしたら、物流費が39%以内に抑えられるってことはないですかね!」

 鬼切社長は名案が浮かんだかのように、パッと表情が明るくなりました。鬼切社長の頭の上に浮かんだ電球を叩き落とすかのように、二子社長は間髪おかずに言いました。

それはないと思いますね。なぜなら・・」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。