ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

クレジットカードもお客様のライフスタイルに合わせて細分化。 【no.160】

(前回のブログを読んでいない方は、まずこちらをお読みください)

 前回は、クレジットカード会社について「絶対このカードじゃなきゃいけない」というものはないこと。ポイント付与を押しても、他社カード会社との何の差別化にもならないこと。しかも、ポイントの付与はカードの利用を継続する理由にはなるが、新規顧客を獲得する手段にはならないこと。あたりの話を書きました。「永久不滅ポイント」って名称はナイスだと思いますけどね。

 そもそも、私は4枚クレジットカードを持っていますが、カードの市場ってのはすでに飽和状態で、人口が伸び続けていれば市場は拡大するのだけれども、人口が減っているので、新規顧客が増えることはほとんどありません。むしろ、既存顧客が減っていくのみになります。1人あたりのカード保有枚数が増えれば、表向きは「●●枚突破しました!」と言えるのかもしれないけど、実質的にメインのカードでなければ、タンスにしまわれているだけでしょう。電子マネーを使う人も増え始めているし、余計に必要がなくなっていきそう。

 そこで、私が使っているセゾンアメックスの新規顧客をどうやって増やしていこうかを考えてみます。私のセゾンアメックスカードは、年会費がかかるものなんですが、「年会費がかかるからどんなサービスが受けられるのか」が全くわかりません。カードをアップグレードしたときに、冊子が送られてきたのですが、それも無くしてしまいました。要望チックではありますが、カードの種類ごとにどんなサービスが受けられるのかをサイト上で容易に確認できるようにしましょう。セゾンカードのシステムである「Netアンサー」の管理画面は、カードをアップグレードしても、変わりません。まずは、カードのグレードごとに管理画面を別にして、サービスをわかりやすくしましょう。既存顧客の満足度アップ策っぽいですが。

 次は、モロ新規向け。セゾンアメックスで割引や特典のサービスを受けることができるレストランやホテルにセゾンの社員が訪れ、そのサービスがどれくらい素晴らしいかを自社媒体(オウンドメディア)を構築して発信していきましょう。この自社媒体は、セゾンアメックスカードの新規顧客の獲得を目的としたメディアではなくて、あくまでレストラン・ホテルのサービスの素晴らしさを発信するメディアです。そして、そのサービスを受けられるのは、セゾンアメックスカードの保有者だけですよ、という流れ。自社媒体で発信するのは、セゾンアメックス限定でサービスを受けられるレストランやホテルだけを自社媒体で発信するのが良いですね。

 そして、カードの種類を増やす。「ネットショップ専用」とか「ファッション専用」とか「アクセサリー専用」とか、お客様のライフタイルに合わせたカードのセグメンテーションをつくる。もちろん、お客様の趣味嗜好によって1つのカードに複数のセグメンテーションを入れることも可能にする。カードの種類増に合わせて、限定サービスを受けられるショップの数も増やす。お客様のセグメンテーションをサービスを受けられるショップをマッチングさせ、お客様1人1人のライフスタイルに合った最適なクレジットカードをつくることができるってわけ。もちろん、カードの種類が100種類あるならば、自社媒体も100サイト作らなきゃいけません

 もう市場は飽和状態なのだから、大手のカード会社でさえ、1to1のマーケティングに近づけていかなければ、新規顧客を獲得するのは難しいでしょう。お客様のライフスタイルにあった「商品」を用意して、ライフスタイルにあった「自社媒体」を用意して、その100ライフスタイルの集合が「セゾンアメックスカードだ」というようにしないと、規模を保つことはできないんじゃないかな。と、伝えたかったのでした。

 おわり。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。