ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの人材育成。人は「育つ」もの。【no.0216】

人を育てる、なんて言っていますけれど、人って育てるものじゃないと思うんですよね。「育つ」ものだと思うんですよ。むしろ、「育てる」なんて、おこがましい。「誰に向かって、『育てる』なんて言ってんねん!」って言われてもおかしくないと思うんですよ。「お前さんはどんなのもんなんじゃ!」って。

だから、変な話、弊社の社名の「人材育成」は「人財」という文字を使っていて、「材料」ではなく「財産」なんですよ、というような表現をしているのですが、本当の本当の本当のところを考えると、「人材育成」でも「人財育成」でも漢字の使い方は正直どちらでもいいんですよね。「人財育成(人材育成)」なんて言葉を使ってしまうの自体が、おこがましい。だって、自分が「人材育成されてる」と思ったら、少し気分悪いじゃないですか。

とはいえ、言葉として表現をすると、「人材育成」という文字を使うことになってしまうわけです。ただ、弊社が考えている人材育成は、「人を育てる」のではなく、「人が育つ」ということなんです。

私自身、「人を育てる」ことなんてできないと思っています。一般的に、「人を育てる」というと、たとえばネットショップであれば、戦略の組み立て方を教えたりとか、日々運営をしていくための業務フローを教えたりとか、事業と会計の数字の見方と戦略への活かし方を教えたりとか、他ネットショップの成功事例を教えたりとか、そういうものをイメージすると思います。逆の立場、つまり教えられる立場からすれば、上記の「教える」を「学ぶ」に変えれば同じ意味です。

こんなことを、本を買って読んだり、セミナーや講演を聞きにいったり、勉強会や講演会に参加したりして、学ぼうとすると思うんですが、果たして、それで本当にネットショップの売上をあげることができますか?という話です。本を読んだり、講演を聞いたり、勉強会に参加するだけで、自分のネットショップが改善でき、売上があがるならそんな簡単なことはないですよね。実際は学んだ後に、「実践」があって、初めて売上があがるわけじゃないですか。

しかも、その学びの後の「実践」は、1日2日頑張って実行すれば売上に繋がるわけじゃない。インプットを「成果の伴う」アウトプットに変えるために、日々試行錯誤を繰り返しながら自分のものにしていかなきゃいけないわけです。だから、時間がかかるんですよね。

聞いて学んで、情報として「それ知ってます」みたいな状況で良いならば、それが「人を育てる」になるのかもしれませんが、成果が出てこそ初めて「人が育った」と言うならば、人が「人を育てる」ことなんてできません。できるとすれば、「人が育つ」ための「場」を用意すること、つまり「環境」を用意することです。「環境」を用意することで、「習慣」が変わり、「行動」が変わり、「売上」が変わっていくわけです。これが弊社が考える「人が育つ」本質です。

だから「人を育てる」なんて、本当におこがましい。社名に「人財育成」なんて付けちゃってますし、日本ネット経済新聞でも「人を育てる」なんてタイトルのコラムを連載しちゃっていますけど、本質的には「人は育つ」です。そのための場を提供するのが、経営者であり、マネージャーであり、そして、当事者同士が言えないことを第三者として指摘し続けられるコンサルタントなんじゃないかなと思っています。

人は感情に左右される生き物です。理屈や理論だけにしたがって動けば成果に繋がることでも、面倒くさい・辛い・不安などの感情が邪魔して、自ら自らの成長に壁を作ってしまいます。だから、意欲によって仕事をするのは根本的には間違いです。モチベーションという感情は、残念ながらずっと続きません。必要なのは「環境」です。「人が“勝手に”育つ」環境をつくるのが、正しい「人財育成」の方法だと思います。

おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。