ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの専任担当者をつけるか。他業務との兼任にするか【no.0778】

 Eコマース事業をおこなうとき、ネットショップの専任担当者をつけるか、他業務との兼任にするか、経営陣は非常に迷う部分です。

 当然、Eコマース事業を本気でおこなうならば、おすすめするのは「専任」です。なによりお客様(ユーザー)がインターネットを使って情報収集をおこなったり、インターネットを使って商品を購入したりしているわけですから、すでにEコマースを無視できない状況になっています。

 それに、世の中にはEコマース専業で事業をおこなっている会社もあるわけです。また、同業の会社でもEコマース専任の担当者をつけてネットショップを新たな柱に育てようと考えているところもあります。専任担当者をつけずして本質的にそのような競合他社に勝てるのか、というのは強い葛藤のあるところです。

 また、専任の担当者をつけることで、ふたつの「覚悟」を持つことができます。

 ひとつは、専任担当者自身の覚悟。専任だからこそ、自分の数値目標に責任を持ち、24時間Eコマース事業のために頭を使い、汗を流すことができます。これが兼任だと、「もう片方の仕事が忙しかったので、ネットショップの仕事ができませんでした」になりがちです。

 もうひとつは、会社としての覚悟。専任担当者をつけきちんとした予算を組むことで、会社として「本気でEコマースを事業の柱に育てていく」という気持ちを持つことができます。これにより経営者自身もネットショップの運営に対して腹を括ることができるのです。

 ただ、様々な会社をみているとEコマースに取り組む姿勢が中途半端なまま、惰性的に運用を続けているところが多いのが残念なところです。1年や2年、腹を括って専任担当者をつけることの投資を惜しむのと引き換えに、「いつまでやっても結果が出ない」というさらに悪い状況を生み出しています。

 これではお金の投資だけではなく、時間も無駄に投資をしてしまっていることになります。運よく結果が出た場合は別ですが、問題は結果がでなかった場合です。本気で取り組まなければ、「本気で取り組まなかったから結果が出なかった」のか「そもそも手段が悪かった」のかの検証ができません。時間とお金を投資したわりに「なにもわからずに終わってしまった・・」ということになります。

 とはいえ、どれくらい成長するかわからない状況で専任をつけるのは怖いという気持ちもわかります。大部分の事業者が「まずは兼任から」と考えるでしょう。

 兼任でEコマース事業をおこなう場合、成功のために必ず決まりごとにしたいことがふたつあります。

 ひとつは、兼任担当者に対しての数値目標を徹底すること。それに合意した上で、担当者にネットショップの運営を任せること。これを決まり事としておこなうことができないと、Eコマース事業が放置状態になってしまいます。

 もうひとつは、経営者が全社に向けて、Eコマース事業に本気で取り組む旨を宣言すること。兼任担当者でおこなうことはネットショップを新しいビジネスの柱に育てるための最初のステップであると明言してください。また、合わせてEコマース事業の成長のために、スタッフ全員へのサポートを要求することも伝えた方がいいでしょう。

 とにかく、Eコマース事業から「逃げない」状態をつくることが肝心です。専任担当者をつければ逃げることはできませんし、全社に宣言をしたならば逃げることはできません。(それで逃げたら経営者の信用がなくなります)。まずは会社を追い込みましょう。

 母体の事業が安定している会社は、いまわざわざEコマース事業を背水の陣おこなう必要はないでしょう。だからこそ、腹を括らないと続かないのです。「気づいたときには、もう参入できない」という状況にならないうちに。

 おわり。

 

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 1.Eコマースを始める, 2.Eコマースを続ける, 3.Eコマースの収益アップ, 4.Eコマースの人財育成, 6.Eコマースの悩み

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。