ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

情報発信はもっと「雑」でいい【no.2225】 

 BtoC、BtoBに限らず、情報発信について相談を受けることがあります。こんなコラムを2,200本以上書いていますからね(笑)

*気軽に情報発信をしていこう

 担当者のみなさんの話を聞くと、どこか「ちゃんとした内容の情報を出さなければいけない」と思い込んでいるように感じます。結論からいえば、情報発信はもっと「雑」でいいのです。ここでいう「雑」というのは手を抜けという意味ではありません。構えすぎず、回数を減らさずに気軽に出していく姿勢で良いという意味です。

 現場でしばしば見受けられる考え方に、こんなものがあります。

 「この内容を書いたらまずいのではないか」「クオリティが低いのではないか」「以前にも似たことを発信したから繰り返しは失礼ではないか」。このように考えた結果、発信の回数が減り、気がつけば発信自体を避けるようになってしまうのです。しかし、それではせっかくのお客様との接点を逃してしまいます。

*「スルー=ネガティブ」ではまずない

 たとえば、新商品の案内やイベントの告知です。SNSやLINEアカウント、メルマガなどで一度情報を流してみてもお客様からの反応が薄いと、「あまり興味を持たれていないのではないか」と感じてそれ以上の発信を止めてしまう担当者がいます。しかしこれは大きな誤解です。情報を受信する側の立場で考えてみれば分かります。

 LINEでイベント案内が流れてきたとしても、興味がないからスルーするとは限らないのです。ただ「へえ、こんなものがあるのか」と思っただけでリアクションしないことの方が圧倒的に多いはずです。スルー=ネガティブではないのです。さらに言えば、一度だけ届いた情報などでは受信者は記憶しません。繰り返し発信され、たまたま目にしたタイミングで「そういえば参加してみようかな」となることがほとんどです。そう考えれば、むしろ一度でやめてしまうことの方が問題です。

*真面目な人、責任感の強い人は要注意

 情報発信をする側は、自分が発信したことをすべて覚えています。だから「これは前にもやった」「しつこいと思われるのでは」と感じてしまうのです。しかし、受信者はその10分の1も覚えていません。ここに大きなギャップがあります。そのギャップを腹の底から理解していないと、「丁寧にやろう」と思うあまり発信ができなくなってしまうのです。情報発信はもっと「雑」でいいのです。とくに真面目な担当者ほど、「雑」に発信することが苦手な傾向にあります。

 自分で商品の企画から販売ページ作成、プロモーション、情報発信まで担っているような人も要注意です。業務範囲が広く、それに比例して責任感やプロジェクトへの思い入れが強いので、情報発信による反応がなかったときに「自分の仕事が否定された」と感じてしまいやすいのです。その結果、「完璧な準備が整うまでは情報を発信したくない」という発想に陥ってしまうのです。

*連続性をもたない人に「担当を分ける」

 では、どうすればよいか。答えはシンプルです。担当を分ければいいのです。情報発信を担う担当者を別に立て、「雑」にどんどん出してもらえばいいのです。その担当者には製造や企画には深く関わらず、社内から情報を聞き取って発信する役割に専念してもらいます。そうすれば「反応がなかったらどうしよう」と気にする必要もなく、スピード感を持って発信ができるのです。

 業務範囲が広い人ほど情報発信は「怖い」と感じがちです。だからこそ、連続性を持たずにフラットに発信できる人に任せることが効果的なのです。情報発信の目的は、受信者に「こんなことがある」と知ってもらうことです。そしてそれは、必ずしも毎回反応や成果に直結しなくてもいい。数を重ねて、何度も伝えて、必要なタイミングでお客様の目に入ることが大事なのです。そう、結局はお客様の「タイミング」なのですから。

 情報発信はもっと「雑」でいい。しっかり準備してからではなく、まずは伝える。伝え続ける。その意識を持てるかどうかが、発信力の差になり、やがて売上の差につながっていくのではないでしょうか。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから