ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

自動販売機の温かい缶コーヒーを、増やしませんか? 【no.0039】

■あったかいコーヒーをあんなに探さなきゃいけないなんて‥!

 毎朝、散歩をしている。自宅の周辺をぐるぐると。短い時で40分くらい。長い時で1時間半くらい。早い時間なので特に時間を意識することもなく。ただ頭に浮かんだことを、どうしようかと考えながら、無心で歩いている。考え事をしているのが、無心状態なのだ。ただ、最近は肌寒くなった。ほんの1か月前は、朝の6時でもTシャツとハーフパンツで暑いくらいだった。5分も歩けば、少しずつ汗ばんでくる。まだなんとかTシャツとハーフパンツで耐えている。少し寒くなったからといって、長そで・長ズボンにいきなり変えてしまうのも抵抗がある。この先もっと寒くなるのに、ここで負けてしまって良いのかと。

 そんな理由で、寒さ対策のため、歩きながら缶コーヒーを飲もうと考えた。散歩には120円を持って出る。自宅近くの自動販売機で缶コーヒーを買い、まずはタブを空けずに身体を温める。一通り温まったら、飲み始める。ひと口ずつ、ゆっくり、時間をかけながら、身体を内部から温めていく。15分ほど歩いた八幡神社の敷地で座りながら、缶コーヒーを飲むのも良さそうだ、などと思っていたらそもそも温かい缶コーヒーを売っている自動販売機がないではないか!あれもこれも、冷たい缶コーヒーばかりだ。「つめたい」は青の背景色に白抜きで表示されているから、遠目からでも「つめたい」しかないのがわかる。赤の背景色に白抜きはないのか、ないのか、と探しながら歩いていたら、6つ目の自動販売機でやっと発見した。おお、季節が変化しているのに、対応は遅れているのか。勿体ない。

■購入データでよりマーケティング精度を上げられないだろうか‥!

 エキナカでよく見られる次世代型自販機。あの、人が前に立つとオススメの商品を提案してくれる自販機ね。あれは、データをきちんと取って、ビッグデータ解析をしているみたい。次世代型自販機が取得しているデータは、購入データと顔認証データとスイカやパスモを利用した場合のICカードのデータだろう。基本的には顔認証のデータと購入のデータを紐づけて、画面上でお客さんに最適と思われる商品を提案するような仕組みになっている。

 顔認証のデータという点では、おそらく2パターンがある。1つは過去に購入した(もしくは自販機の前に立った)お客さんの顔認証のデータ。もう1つは、いわゆる学術的な顔認証のデータ(顔の皺のなどで、年齢を予測する方法)。この2つを元にして、顔認証のデータが作られていて、それを購入のデータと結びつけ、提案をすることで、さらなる成果検証に繋げていく。提案が成功したら、その提案を導き出したアルゴリズムの優先順位を上げ、提案が失敗したら優先順位を下げる、みたいなことも、システム上で行っているかもしれない。ビッグデータを解析することで、よりお客さんに対する提案を1to1に絞っていっているということなんだろう。

■とにかく、早く温かい缶コーヒーを増やしてくれってことだ‥!

 さすがに顔認証の仕組みまで入れるのは現自動販売機では難しいと思うけれども、購入データを分析してよりマーケティングに繋げていくことはできそう。大元のデータとして必要なのは、以下。

-商品データ:自動販売機で販売している商品と、炭酸系・果物系・水系・スポーツ飲料系など、商品の属性情報を蓄積する。
-購入データ:どの時間に、どの自動販売機で、何が売れたかの情報を蓄積する。
-環境データ:自動販売機が置かれている場所の天気や気温の情報を蓄積する。

できれば顧客データがあればより1to1に近いデータマーケティングができるのだけれども、顔認証とICカードは全てのお客さんが使う訳ではないと思うので、ひとまず考えないものとする。商品データ・購入データ・環境データの分析から、自動販売機の最適化を図ってみる。

 今回の、「寒くなったのに、温かい缶コーヒーが無い」という課題に対しての解決策としては、温かい缶コーヒーを「どのタイミングで自販機のメニューに入れるかを決める」ための分析からスタートする。そのためには、購入データと環境データのかけ合わせを行えば良い。環境データを見ることで、過去数年の天候や気温の変化を見ることができると思う。その傾向に合わせて、テストマーケティングとして、温かい缶コーヒーを導入するタイミングをいくつか設定する。「9月の1週目に100台を温かい缶コーヒーに変える」というように。少しでも供給側が用意をしておかないと、需要がどのくらいあるか読めないので、ここはテストマーケティングとして設置。テストマーケティング用自販機の購入データを毎日ウォッチし、販売数に大きな動き(上振れ)があった日の環境データをチェックしていく。そうすれば、どのあたりから温かい缶コーヒーに変えればいいかがなんとなくわかってくるはずだ。ここが読めれば、翌年の切り替えのタイミングもより精度が高くなってくる。

 商品×購入×環境のデータ分析をすると、自動販売機によってどの系統の商品を多くラインナップすれば良いかとか、季節や時期によってどのくらいの在庫を持つべきかなどの情報がより読めてくる。そこは今回の主題ではないので書かないが、とにかく、早く温かい缶コーヒーを増やしてくれってことだ。言いたいのはそれだけっす。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。