ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

鬼切社長は、いい笑顔で猪井氏先生を出迎えました。【no.0273】

 ネットショップあるあるストーリー、その壱つづき。(前回はこちら

 鬼切社長が、工場併設の実店舗「笹かまオニギリ」のレジ&接客担当をしてから、はや10日間が経ちました。当初は1週間だけの予定でしたが、鬼切社長は思いのほかレジと接客の仕事が好きになってしまい、その期間を過ぎても実店舗で働いていたのでした。

 実店舗に来られたお客様から、笹かまぼこについての質問を受けたり、何ともない雑談を交わしたりする中で、お客様がどんなことを考えているのか、生の会話を通して知ることができるのが面白かったのです。

 鬼切社長自身、生でお客様と触れ合うことは、この数十年ほとんどなかったので、とても勉強になりました。お客様からの質問には、鬼切社長では答えられないものも多く、その度に事務所や工場のスタッフに聞いて回りました。自分の会社の製品について、十分な知識を持っていなかったことを感じ、鬼切社長は反省をしました。と同時に、この10日間で、かなり笹かまぼこにも詳しくなりました。

 そして、猪井氏(いいし)先生がまた、来る日を迎えました。

「猪井氏先生、おはようございます!」

 おにぎり水産の事務所の入口で猪井氏先生を出迎えた鬼切社長は、元気よく声をかけました。

「おおー、鬼切はん、おはよう。なんか元気じゃし、エエ顔をしとるなぁ。どうやら良い成果があったようじゃな」

「いやー、まぁ、どうかわからないですけどー・・」

 鬼切社長は少し照れながら、猪井氏先生を会議室に通しました。買い換えたばかりのフカフカのソファーに座ると、鬼切社長が話し出しました。

「猪井氏先生、今日はありがとうございます。実は、つい昨日まで、実店舗のレジと接客の担当を続けていまして、資料にはまとめる時間がなかったのですが、自分の頭の中には、お客様のイメージができてきた気がします。資料をつくるよりも、なるべく長く、実店舗でお客様と接していた方が良いかと思ったので」

「おー、そうか。ええなええな。資料なんかどうでもいい。ここで鬼切はんに話してもらえばいいだけだからな。それより、現場でお客さんの顔をみて、しっかり話すことの方が大切じゃ。それで、おにぎり水産ネットショップのお客さんについてだじゃけど、どう思った?うまく話そうとせんでいいから、自分の言葉で話してみぃ」

 「そうですねぇ」。鬼切社長はななめ上を向いて、この1ヵ月間を頭の中で振り返りながら話し出しました。

「おにぎり水産のネットショップのお客様はどんな方か、というところから始めは考えていました。ただ、途中から考えていることが何なのか、よくわからなくなってきたんですね。どこがわからなくなったかというと『ネットショップの』というところです。『ネットショップの』がつくことで、どこか特別なお客様に定義をしなきゃいけないのか、と思ってしまったんです」

 猪井氏先生はウンウンと頷きながら聞いていました。

「つまり・・」(猪井氏先生のつぶやき)

「つまり、『ネットショップの』お客様と、『おにぎり水産の』お客様に違いはあるのか、ということなんです。いままでは『ネットショップの』お客様というのは、『おにぎり水産の』お客様とはある種違うようなイメージで考えてきたんですけども、本当は、『ネットショップの』なんていう部分はどうでも良くて、『おにぎり水産の』お客様に買って欲しいな、と思ったんです。インターネットでも」

 猪井氏先生はウンウンと頷きながら聞いていました。

「なんで・・」(猪井氏先生のつぶやき)

「なんで、そう思ったかというと、工場併設の実店舗である『笹かまオニギリ』で10日間以上、生のお客様と接することができたからなんですね。この10日間で、私の考え方がガラッと変わりました」

 猪井氏先生はウンウンと頷きながら聞いていました。

「それは・・」(猪井氏先生のつぶやき)

「それは、まさに、猪井氏先生が実店舗で接客しろと言ってくれたおかげです」

「そんな褒め言葉はええんじゃ。続き続き。続きを教えてくれ」

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。