ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ホテル、ゴルフ場、美容室は、公式サイトで予約が取れるのか。前【no.1045】

 先日、家族で泊まったホテルに、予約に関する貼り紙がありました。公式サイトから予約をすると、こんな特典がありますよ、というもの。つまり、できれば他の予約サイトじゃなくて、公式サイトから予約してくださいね、ということなんだと思う。

 実際にこの貼り紙を出していること、公式サイトでも特典を明記していること、また特典の内容(ベストレート保証、レイトチェックアウト、ミネラルウォータープレゼント)でお客様を流せているのかは不明だけれども、この試行錯誤をおこなう姿勢は大切だと思った。

 そんなことで今日のブログは、予約サイト経由ではなく、公式サイトを活用して売上に繋げていくためには、という話。

 たとえば、ホテルであれば「じゃらん」、ゴルフ場であれば「ゴルフダイジェストオンライン」「楽天GORA」、美容室であれば「ホットペッパー」などの予約サイトが強い。公式サイト経由で予約をしている人はほとんどいないと思うんですね。ここは明確なデータはないが、間違いないと思われる。

 ただし、ホテルやゴルフ場、美容室は本来ならば予約サイトを通じての予約をして欲しくない。やっぱりいくらかのロイヤルティをプラットフォーム側に支払うことになってしまうから。当然、予約サイトがあったからこそ、お客様にその存在を知ってもらえたというメリットはあるのだけれど、やはり課金が重い。

 ・・というよりも、本質的な悩みというか課題は、自力でお客様を集めるために「頭を使う。汗を流す」ことから離れていってしまうことだと思うんですね。

 たとえば、美容室だったら「ホットペッパー」に「初回カット2,000円」のキャンペーンを出せば、新規のお客様が集まってくれる。もちろん、カットのクオリティが高かったり、スタッフのサービスが良ければリピートに繋がるのだけれど、キャンペーンの利用でいろんな美容室を回っているお客様だったりするとなかなか定着しない。むしろ、既存のお客様が予約できなくなって離れていってしまう、みたいなことも起こる。

 予約サイトに載る情報はどうしても画一的になってしまう。プラットフォームが設定したフォームに沿った情報になってしまう。その方がお客様にとっては比較が楽だったりもするんだけど、同時に「値段、価格」とか「○○があるか、ないか」とか、わかりやすいもので判断するような流れになっていってしまう。「こだわり」とかって画一的なページでは伝わりづらいじゃないですか。だからやっぱり、情報が集まっているほど、人間の判断基準はシンプルになっていく。

 プラットフォームにマージンを支払うのがイヤだったら、単純にプラットフォームにページを出さなければいいだけ。公式サイトがもっとお客様の目に触れるように努力すればいいだけ、というのは非常に乱暴な意見かもしれないけれども、やっぱり長く商売を続けていくためにと考えれば、「頭を使って、汗を流して試行錯誤する」というのが大事だと思うわけです。それが、ホテルとかゴルフ場とか美容室の経営の筋肉になると思うんですね。

 Eコマースというのは商圏が無い世界です。だから、はっきり言ってしまうと「勝てる会社と勝てない会社」は実はシビアに決まってしまっている。でも、ホテルもゴルフ場も美容室も、ネットを活用したとしても落ちる先は実店舗。そこには商圏があるわけですから、まだまだ可能性はあります。むしろ、これからのネット活用の中心にもなりえるかもしれません。

 いきなり予約サイトをやめるのはリスクが高すぎると思うので、まずは既存のお客様を動かすことから考えていくのが良いですね。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。