ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネット戦略に選択と判断の「軸」はありますか?【no.0211】

 いつも疑問に思うことがあるんですよね。ネットショップを新規で立ち上げるとき、社内の誰がサービスを判断して事業をスタートさせているのかということです。まあ、多くの場合、インターネットビジネスの知識があろうがなかろうが、経営者が最終決定をしているとは思います。

 ショッピンモール、自社ドメインカート、インターネット広告、在庫連動システム、受注システム、決済システム、物流ソリューション、メールソフト、ソーシャルメディア対応などなどなど・・ネットショップに関係するソリューションはすでに多岐に渡っています。日々、新しいサービスが立ち上がり、キャッチアップし続けるのは非常に難しいと思います。インターネットビジネスのコンサルティング業を営んでいる弊社でさえ、正直いって全てを追えてはいません。

 このような状況の中で、自社のイーコマース事業のイメージに合ったサービスソリューションを検討し、判断を下しているのは、いったい誰なのでしょうか。そして、何を「軸」にして、最終決定をしているのかということです。全てのサービスを知っているか否かより、重要なのはこの「軸」というところですよね。何を持って、選択と判断をするのか、という部分。

 当然ですが、サービスソリューションによって「売上が決まる」ということはありません。自社のイーコマース事業に合ったソリューションであれば、その仕組みが売上の拡大を「近づける」ことはできますが、売上まで「繋げる」のは自社のネットショップ担当者達です。つまり、ソリューションを自社で消化することができなければ、売上には繋がらない、ということです。

 新規にネットショップを立ち上げる会社に、ネットビジネスへの本質的な知恵と知識を持ったネットショップ担当者がいるとは思えません。これまでネットショップに取り組んできた会社も、イーコマース事業の担当者に悩まれていることが多いと思います。それでもインターネットに新しい販路を求めていかなければいけない時代です。

 SEO対策、オムニチャネル、facebook、CVR、O2O、リターゲティング、LTV、オウンドメディア、LINE、ビッグデータなどなどなど・・ネットビジネスへの本質的な知恵と知識、つまり「原理原則」を持っていない中で、どこかインターネット上のキーワードばかりに惑わされて、日々の判断を下している人が多いのではないでしょうか。そもそも、何のためにインターネットビジネスを行うのか、自社がお客様に伝えたいものは何なのか、キーワードばかりを追っていると、そこが欠けてきます。

 また、インターネットビジネスはすぐに結果が出るという勘違い。ネットビジネスの「すぐ」はお客様からのリアクションであって、売上ではありません。今までは先行者有利の「需要>供給」の時代でしたが、これからは「需要<供給」の時代です。これまで実商売として行ってきた、母体となるビジネスが30年40年をかけて実績と信頼を積み重ねてきたように、ネットショップも5年10年をかけて、事業の柱に育てていく、そんな時代に入っていると思います。

 テクノロジーはこれからも進化します。進化し続けます。今日も、明日も、明後日も、これからもずっと進化し、新しいサービスソリューションは生まれ続けます。いつまで、インターネット上のキーワードに振り回され続けますか。いま本当に必要なのは、ネットビジネスの選択と判断ができる「人財」ではないでしょうか。「軸」がなければ、いつまでたっても情報に振り回されてしまいます。そもそもインターネットビジネスとは何なのか、自社はインターネットをどう使うのか、そのために必要なソリューションは何なのか、そしてそれをどう使いこなして成果に繋げていくのか。

 人を育てましょう。人を。

 おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。