ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

過去と直近のデータから在庫数を決定、回転期間で判断する。 【no.0122】

(前回のブログをご覧になってから、こちらをお読みください)

 在庫管理をいかにして戦略化していくか、つづきです。

 前回は、在庫管理の最高に理想な状態を書いて終わったのですね。「今日、お客様が買ってくれる商品を、今日、在庫として入荷した」状態と書きました。もちろん、お客様はたくさんの商品から選択して購入してくれるので、ネットショップや商品を選んでもらうためにも在庫としてのバッファは必要だとはいえ、お客様に買ってもらえる商品だけ在庫があれば、それに越したことはないですよね。

 イーコマース事業で在庫管理を戦略化していく、と考えると、いくつか目指す方向があると思うので、要件(目的)別に実現方法を考えてみたいと思います。

 回転期間を気にして在庫を持つ

 まずは、在庫の回転期間を想定して管理をする方法です。在庫の回転期間の計算方法は、イーコマース事業者と取り扱っている商材によってマチマチだと思います。一か月で予測される販売数の2回転分を持つ、とかそんな感じでネットショップにより計算していきます。一か月に100コ売れる商品であれば、200コは常に在庫としてもっておく、というような感じですね。単品集中型のネットショップであれば、厚めに在庫を持つことが可能ですし、複数分散型のネットショップであれば、できるだけ薄く、場合によっては受注発注形式の商品も混ぜながら、商品ラインナップを充実させていきたいところです。

 単品集中型のネットショップであれ、複数分散型のネットショップであれ、いずれにせよ、保有しておく在庫を計算するための道具はデータということになります。まずは一昨年対比、昨年対比を確認することによって、シーズンによってどれくらいの販売数が見込めるかを確認します。一年の販売数の流れをグラフ化して、傾向値を確認するのも良いでしょうね。一昨年、昨年だけではなく、二年前、三年前と過去のデータがあればあるだけ良さそうです。

 一昨年対比、昨年対比のデータの他に確認した方がよいのは、直近の販売実績です。直近半年、三ヶ月、一か月というように、現在のトレンドとしてどのくらいが動いているかを知る必要があります。もちろん、一昨年対比、昨年対比では出てこない新商品もあるでしょうし、過去の流れと比較すると、明らかに動きが落ちている場合も把握したいですよね。この一年間の間に、過去のデータには出ていない「代替商品」が出ている可能性もあります。

 一昨年対比、昨年対比、半年、三ヶ月、一か月のデータを見た上で、適切な在庫数を決定していくとして、頭に入れておきたいのが、発注ロット数と納期です。ご存じのとおりと思いますが、発注ロット数とは、商品を発注する際に最低限必要なまとまりの数。もちろん、1コから発注可能というものもありますが、1ダースからの発注とか、同じ型の色違い合計100コ単位の発注とか、各色位各サイズ同数ずつの発注とか、発注ロットの形式も商材や仕入れ先によって様々です。あとは、納期。発注した商品がどれくらいで倉庫に納品されるのか。自社の倉庫(外注でも良いですが)に納品されてからお客様への発送になるならば、発注の時点では在庫無しの状態になります。理想の状態である入荷後即日発送を実現するためには、納品の期間もどれくらいか押さえておきたいところです。まあ、自社で商品をつくっている場合は、こんなことは気にしなくていいんですけどね。

 つづく。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。