ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

1件の発送で、ガムテープをどれくらい使ったか、計算する?【no.0329】

 ネットショップのあるあるストーリー

その壱つづき。(前回はこちら

「物流のパートさん、アルバイトさんの人件費が、年間で約500万円。年商1億円の5%って安いですかね。どうですかね。配送料金の3,000万円に比べれば、はるかに安い気はしますが」

鬼切社長は、「配送料金の3,000万円」という言葉を聞いて、また沸々と怒りが湧いてきました。怒りの対象は、ショッピングモールのあの担当者です。ショッピングモールに広告を出稿したとき、笹かまぼこ5枚セットで980円(送料無料)で販売した過去はもう変えられませんが、鬼切社長の怒りは収まりきりません。

それを見かねた二子(にこ)社長が、鬼切社長に声をかけます。

「まあ、まあ、鬼切社長。もう済んだことですから。これからきちんとネットショップを立て直していけばいいだけです。だからこうやって今日、僕と話しているんじゃないですか」

「二子社長さん、確かにそうです。そうなんだけども。あのショッピングモールの担当者よりも、送料無料にしてもビジネスとして成り立つと勘違いしていた自分に腹が立ってなぁ」

そういうと、鬼切社長は寂しそうな顔をしました。怒ったり、悲しんだり、感情の起伏が激しい鬼切社長です。10秒ほど間があり、鬼切社長は突然両手の平で自分の顔を叩き、「ま、仕方がないか。続けてください」と言いました。二子社長には、この切り替えも謎でしたが。鬼切社長のいうように、二子社長は続けました。

「配送料金が3,000万円で年商1億円に対する30%。発送の人件費が約500万円で年商1億円に対する5%。利益率20%と原価率35%を引いた、残り45%のうち、35%がこの2項目で埋まったわけです。あとの残りは10%ですね

「二子社長、これ、明らかに超過するペースやね」

二子社長は、苦笑いを浮かべながら、優しく頷きます。

「物流費の3つ目です。資材費ですね。資材費というのは、ダンボールや緩衝材、納品書用紙など、商品の発送に使う資材の合計金額と思っていただければ良いと思います。ダンボールに封をするときのガムテープなんかも資材費に入れた方がいいですね。ネットショップの運営にかかる経費を正確に計算したいならば、ガムテープでさえ、ネットショップ専用のものを用意した方がいいと思います」

「ふむふむ」。そう言いながら、鬼切社長は手帳にメモを取りました。

「ダンボールの価格って、小さいものから大きなものまであるので、値段は様々なんですが、だいたいひと箱で20円~60円くらいです。笹かまぼこなら、20円~30円の大きさで発送できると思います。ダンボールは1点1点で経費を計算することができますが、緩衝材とかガムテープって、1つの発送でどれくらいの金額分を使ったか、計算するのが難しいですよね」

「そうですねぇ。納品書の用紙は、1枚あたりの金額で割れるからまだしも、ガムテープなんか、どれくらい使ったか、いちいち計算するわけにもいかないですからねぇ」

鬼切社長は少し困った顔をしました。

「なので、資材費に関しては、月次で使用した金額を計算して、それを発送した件数で割ると良いと思います。年間10万セットを発送するとなると、月に発送する件数は8,300件くらいですから、それで割る感じですね。ミニマムのダンボールを使用したとして、1発送あたり合計で50円もかからないと思います。もしかしたら40円台になるかもですね」

「二子社長、思ったんですが、そこまで細かくやりますか?

「はい、ここまで細かく計算した方がいいですね。月にガムテープをどれくらい使ったか、まで。1発送あたり50円かかるのと、40円かかるのでは大違いです。50円ならば年間で500万円、40円ならば年間400万円で100万円も差が出ます」

「100万円の差が生まれるなら、パートさんもうひとり雇うことができますね」

「そういうことです」

二子社長は、優しく頷きました。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。