ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

中小企業のEコマースがこれから生き残る方法【no.1664】

 Eコマースの市場環境が難しくなっています。商品の良さ、提案の上手さ、サービスの気持ちなど、ネットショップの担当者さんの努力でカバーできるところ以外でのコスト悪化が避けられない状況です。

 ひとつはプラットフォームのコスト増。中小企業のEコマースが自社サイトでビジネスをするのは簡単ではありません。どうしてもショッピングモールというプラットフォームの集客力に頼るケースが多くなります。ただプラットフォームのコストの締め付けは少しずつ強くなる傾向にあります。ネットショップ側は簡単に抜け出ることができないのです。

 もうひとつ、送料の問題です。この1ヵ月以内に配送会社からの配送料の値上げ交渉をしたネットショップも多いのではないでしょうか。BtoCの全国の配送網をもっている配送会社は数社に限られます。この数年、その数社が順番に値上げ交渉をしていくという状況が続いています。ネットショップのお客様にいただく送料が1,000円を超えるケースも増えてきています。

 自社の営業努力、でカバーできれば良いのですが、努力をしてもかなわないところにEコマースの市場が動いてしまっています。インターネットの世界には公的機関はありません。民間のプラットフォーマーがそのルールを決めています。中小企業のEコマースのこれからの対策をいくつか考えてみます。

1:ショッピングモールのEコマースをやめる

 簡単な選択肢ではありません。ショッピングモールはコストがかかり過ぎるのでやめる。もしくは新商品の追加、ネットショップのメンテナンスはミニマム化して運営コストを下げて、利益を保つ方向に舵を切ります。ショッピングモールは新しいお客様に自社の存在を知ってもらう機会でもありますから、選択をするとしたら後者でしょうか。不安なのは、ショッピングモールから自社サイトにお客様が流れてきてくれるかですが、商品力や提案力を含め、自社にどれくらいのファンがついているかがポイントになりそうです。

2:対象のお客様を変える

 ネットショップで販売している800円の商品を1,200円の送料を払って購入する、ということをお客様に期待するのは難しいかもしれません。商品のラインナップや売り方を変えて、ネットショップが対象にするお客様をガラリと変えてしまうのも手です。ひとつは価格帯を変えること。送料や固定費は一定なのですから、高価格帯の商品を販売し利益額が厚くなればコストをカバーすることができます。また商品の利用・活用方法を考え、個人ではなく法人を対象顧客に変える。こちらも受注1件あたりの価格を上げることができます。

3:付加価値で利益率を上げる

 もっともセオリーの考え方ですが、用意なものではありません。付加価値を付ける前提として競合他店では販売していない商品力がなければ通用しません。いくつかのネットショップですでに販売している、価格競争も始まっている商品に付加価値を付けてもそれほどの効果は期待できません。インターネットは店舗同士、商品同士の比較が簡単にできてしまうので、付加価値を感じてくれていたとしてもなんだかんだでお客様は「価格の安い」方に動いていってしまいます。もちろん、すべての付加価値が「効かない」と言っているわけではありません。

 中小企業のEコマースについて3つの方法を考えました。「やめる」という選択肢もあると思いますが、「耐える」という選択肢もあると思います。実際「インターネットでモノを買う」という市場はなくならないわけですから、リタイヤするネットショップが増えれば続けているネットショップにはチャンスがあるわけです。まずは「続ける」ことを前提として、知恵を絞るのが良いと思います。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。