ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

自社サイトECをメインにするためには【no.2079】

 最終的な自社サイトECでの事業拡大が多くのEC事業者の目指す道でしょう。リアルで圧倒的なブランド力がある企業ならば、自社サイト一択でのEC事業が可能です。しかし、多くの企業はショッピングモールも検討しなければいけないのが現実。自社サイトECをメインにするためにはどうすればよいのでしょうか。

「ゆうてもAmazon」を理解する

 ユーザー(お客様)視点でいえば、ショッピングモールECでの購入を選ぶ理由は明白です。ひとつのアカウント(会員ID)があれば様々な商品が買えます。同一の購入フローで商品を買うことができます。店舗をまたいだ買い物に使える共通ポイントがあります。システム投資もしっかりしていますから、常に機能がアップデートされます。消費者目線で考えればショッピングモールを選んでしまうのは仕方ないことなのです。

 現実的にEC事業に関わっていて自社サイトECの拡大を目指す人々も、自身のネットショッピングではAmazonや楽天市場を使っているケースが多いのです。これ、自社のECチームのメンバーにぜひ聞いてみてください。きっと「ゆうてもAmazon」という人が多いはずです。ただ、これは「自社サイトは可能性がない」といっているわけではありません。「ゆうてもAmazon」を理解することが、自社サイトEC拡大への第一歩です。

ポジティブな市場環境もある

 とはいえ、自社サイトECを事業拡大する上で、ポジティブな市場環境もあります。ショッピングモールと自社サイトを比較したとき、先に書いたような「アカウント(会員ID)」や「決済情報(クレジットカード情報)」が自社サイトECの大きなハードルでした。自社サイトの場合は店舗毎に会員登録をしなければいけません。自社サイトの場合は店舗毎にクレジットカード情報を入力しなければいけません。ユーザー的には面倒なわけです。

 しかし、Amazonペイなど会員登録の手間が不要な機能が出ています。これは自社サイトECにとって追い風です。また、クレジットカード情報もスマホやブラウザ登録ができるようになり、入力の手間がなくなりました。GooglechromeやEdgeにクレジットカード情報が入っている人も多いのではないでしょうか。自社サイトECの利便性を上げる仕組みが揃いはじめています。

 また、ショッピングモールECはどうしてもプラットフォームに依存するもの。プラットフォーム側も収益性を上げていかなければいけません。どうしてもそのしわ寄せは出店店舗側にやってきます。そしてそのしわ寄せは最終的にショッピングモールのユーザーに負担されるのです。ショッピングモール自体の盛り上がりが下がっていきます。

消費者が自社サイトを選ぶ理由

 ユーザーの目線がショッピングモールに向いていないケースがあります。つまり、消費者がショッピングモールではなく自社サイトを選ぶのです。特に現状では、アパレルや貴金属などファッション系ブランドについては、ブランド独自のECサイトを選択する傾向にあります。ECMJのコンサルタントは顧問先ECチームのメンバーに対して「実際どこで買っている?」を質問しています。「自分が好きなファッションブランドは自社サイトで」。この返答が多いのです。

 ここにはふたつの可能性があります。ひとつはショッピングモールでも自社サイトでも商品は売られているが、自社サイトを選んでいる。もうひとつは、自社サイトしかECサイトがない。自社サイトECを拡大させるひとつの道は、実は後者です。ショッピングモールECをやめる。これがひとつの方法になります。

 そして商品とサービスです。前者のショッピングモールでも自社サイトでも商品を売る場合です。この条件で自社サイトECをメインにするには相当な商品とサービスの優位性が必要になります。もちろんショッピングモールECに対してです。わかりやすいのはショッピングモールと自社サイトで商品とサービスを変えること。消費者のリテラシーが上がり、ショッピングモールで商品を確認した後、自社サイトを探すケースが増えています。自社サイトの魅力的な「わかりやすい一手」を検討してみてください。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。