ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

お客様コミュニティの「渦」をいかにつくるか【no.2096】

 「渦」をいかにつくり上げるか。これが現代のマーケティングのひとつの「キモ」なのではないかと思います。

 いかに「自然発生的な『渦』」をつくるか。この「渦」がお客様がお客様を呼ぶ仕組みをつくり、そしてお客様がよりサービスにのめり込んでいく理由になります。

インターネット、スマートフォン、SNSの登場

 インターネット時代、スマホ時代、SNS時代のマーケティングに「個人」はきっても切りはなせません。いかにお客様である「個人」に次の発信者になってもらうか。これがECのマーケティングにおいても重要な要素です。

 従来、情報を発信するのはサービスを提供する側(つまりEC事業者)であり、情報を受信するのはお客様でした。サービスを提供する側はテレビや雑誌の広告、はたまた新聞の折り込みチラシなどを使って、お客様に一方的に情報を伝えます。情報の受信側であるお客様は、情報を自分自身、もしくはごく狭いコミュニティの意見を参考に判断して、サービスの利用を決めていました。

 インターネット、スマートフォン、SNSの登場はこれらを変革させました。お客様はリアルだけではなく、ネットからも情報を受信するようになりました。スマホで自分用にカスタマイズされた情報をいつでも受信できるようになりました。そして、サービスの評価を身の回りの人たちだけではなく、世界中の利用者から得ることができるようになりました。加えて、情報を発信する力を持つようになったのです。

個人の集まりの方が情報の発信力は強い

 いわゆる、Youtuberやインスタグラマー、インフルエンサーは情報の発信力をビジネスにする職業です。場合によっては、サービスを提供する側よりも強い力を持つことすらありえます。なぜならば、お客様はサービス提供側の情報よりも、外側にいる第三者の「個人」の情報を信用するからです。

 また、SNSの情報は拡散性が高いのが特徴です。従来の情報発信では、たとえば雑誌広告であれば「雑誌の購読者数」までしか情報を伝えることができません。しかし、SNSならば、個人が個人に情報を伝え、その個人がまたほかの個人に情報を伝えというように、限りなく無限に情報が伝わっていきます。ある意味、大きな広告予算を持っている企業よりも個人の集まりの方が情報の発信力は強いわけです。

 「渦をつくる」とは、SNSにおけるお客様個々人の発信コミュニティをつくることです。サービス提供側がネット上に場を設けるのではなく、お客様同士が勝手に盛り上がってサービスの利用を楽しんでいる。この状態がつくれれば理想です。しかし、多くのサービスが「渦」をつくるまでは至っていないのが現状です。「渦」をつくるためにはどうすればいいでしょうか。

リアルで交流できる場を設ける

 SNS上でサービスの話題すら出ないところから、「渦」をつくる。そのためには、「渦」の中心になる人物が必要です。その人物を中心にサービスに関する情報のやりとり、コミュニティがはじまっていきます。我々のようなサービス提供側ができることは、直接的に場を設けることではなく、お客様同士がリアルで交流できる場を設けることではないでしょうか。

 リアルでの関係性はネット上での関係性に比例します。リアルで交流したお客様同士がSNSアカウントを交換したならば、必ずSNS上での交流もスタートするはずです。そこにひとり、またひとりと加われば少しずつ「渦」ができます。「お客様同士が勝手に盛り上がる」コミュニティができあがっていきます。ここでのポイントは「あくまで自然発生的」であること。サービス提供側が余計なおせっかいをすると、お客様側は言いたいことがいえず興ざめするのです。

 「渦」ができれば、お客様同士が情報を交換し、互いに刺激をし合う状態になります。コミュニティの中で目立ちたい人もあらわれるでしょう。SNS上でお客様が刺激し合うことが、よりお客様がサービスにのめり込んでいく要因にもなるのです。まずは「リアル」の場をつくりましょう。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。