ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

情報管理と対応スピードの徹底でECを勝ち抜く【no.2103】

 ECビジネスの成長のためには情報管理が欠かせません。情報管理とは自社内、自社外の情報をEC事業の改善施策につなげる活動です。特に中小ECにおいては、情報管理と対応スピードの徹底が市場での勝負をわけます。

 情報管理を考えるとき、まず理解したいのが「内部情報」と「外部情報」の違いです。

内部情報を「狭く」考えない

 「内部情報」は自社内から取得できる情報を指します。EC運営業務の過程で得られる「お客様からの問い合わせ」や「自社店舗&商品レビュー」は内部情報の最たるものです。また、内部情報はEC運営から得られるだけではありません。

 実店舗をかまえている事業者であれば、実店舗に来店したお客様の「質問・相談」は内部情報になります。社内の別部門としてBtoB部門がある事業者においては、営業担当者が取引先との商談で聞いた情報もあるはずです。これも内部情報ということになります。

 ポイントは自社には様々なところに情報が転がっているということです。そしてその情報はイコール「お客様のニーズ」の可能性があります。大切なのは、内部情報を「狭く」考えないことです。

市場環境の情報は簡単に取得できる

 もうひとつが「外部情報」です。外部情報はその名のとおり、自社外から取得できる情報を指します。主に市場環境の情報、そして競合ショップ・競合商品の情報と捉えるのが良いでしょう。

 市場環境の情報です。たとえばGoogle検索やモール検索のサジェスト機能をみると、自社商品カテゴリの関連キーワードのトレンドが見えてきます。またAmazonの検索バーからはサジェストだけではなく、Amazon市場全体でのトレンドワードも確認することができるのです。

 「お客様のニーズ」を間接的に示している検索ボリュームについても、Googleトレンドを活用することによって無料でチェックすることができます。キーワード別の検索ボリュームの対比や、キーワードのトレンド性について情報を得ることができます。

消費者は必ず「比較」している

 外部情報のもうひとつが「競合の情報」です。競合ネットショップの情報、競合商品の情報は押さえておきたい外部情報です。

 ECは「比較の世界」です。EC担当者の皆さんは自分自身も「消費者」のひとりだと思います。消費者としての自分は・・必ず比較して利用するECサイトを決めているはずです。であれば、EC運営側としても自社を競合と比較しなければいけません。

 競合ショップ・競合商品から取得したい外部情報は「レビュー」です。お客様からのレビューには改善点が多く含まれています。また競合の外部情報は、戦略から逆算したポイントを押さえるのがスムーズです。つまり、自社と競合の「選択動機」を測り、そこから改善施策の具体策をつくっていくのです。

定期的に情報を取得し精査する

 情報管理をEC運営に活用する際、大切なのは「定期的に情報を取得し精査する」ことです。

 情報管理において、ある一時点の情報は実はあまり価値がありません。ポイントは「その情報が増えたのか減ったのか」「いままでにあったのかなかったのか」。この「変化」なのです。一時点で「多い」情報だとして、それまでも「多かった」情報であれば、そこまで気にする必要はありません。

 逆に「突然多くなった」のならば、そこに何かお客様の「変化」が隠れている可能性があります。それこそが「ニーズの変化」かもしれません。この「ニーズの変化」に対応することこそ、冒頭に書いた「対応スピード」です。

 中小ECは資本力で大規模ECに勝てるはずがありません。「ヒトモノカネ情報」のすべてで大規模ECには勝てません。唯一勝てるのは「対応スピード」だけなのです。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。