「売れる最大の価格」で売る!値付けはどうやって決めるのか?【no.2202】
商売を営む我々にとって「値付け」は切っても切れない関係にある。そして、値付けは相当奥が深い。私も明確な理論をもっていない。さらにいえば、適正な値付けは「PDCA」によって探れるものでもない。今回は値付けについて、考えていきたいと思う。
*商品原価(率)で「値付け」するケース
マーケティングの相談をうける際、必ず伺うのが「商品原価(率)」である。
まず、仕入れの商品ならば、これは「掛け率」という表現になる。この場合、仕入れ先との契約により、一定の「掛け率」が設定されているのが一般的だ。多いのは掛け率50%から掛け率75%ほどだろうか。50%未満の仕入れ先もあれば、75%以上の仕入れ先も存在する。このあたりは商材のジャンルや仕入れ先のブランドによって異なる。「値付け」の話なので、仕入れ商品のケースはひとまず置いておく。
問題は自社オリジナル商品の場合だ。自社で開発、製造した商品やサービスの場合、値付けは自分たちでおこなう。これまでの経験であると、値付けは「商品原価率」をベースにしているパターンが多い。「商品原価率が××%」もしくは「商品原価の●倍」になるように、販売価格を設定するわけだ。仮に商品原価が5,000円だったとする。前者であれば、商品原価率が「売価の50%」になるように設定するとして、10,000円となる。後者であれば、商品原価の「倍」になるように設定するとして、こちらも10,000円となる。
*ルールが「盲目的な値付け」を促進している
この「50%」もしくは「倍」という設定は、多くの場合、会社の経営に紐づいている。人件費など販管費や諸々の諸経費、そして最終的な利益を鑑みると、「50%」「倍」といった値付けを「しなければいけない」というわけだ。逆にいえば「50%」「倍」という基準を守らないと利益が出ない(場合によっては赤字)可能性がある。だからこそ、値付けが「しなければいけない」系の会社のルールになっていることが多い。
しかし、現場レベルだと「ウチは50%なんで」と盲目的な値付けをしてしまっていることもある。これは非常にもったいないことなのだ。利益率もしくは利益額が高ければ、もっと商売は上手く進むハズなのだ。もちろん、利益率を高くしたり、利益額を高く設定することで販売実績(数)が下がる可能性もある。このあたりが値付けの難しいところだろう。
*「売れる最大の価格」のための情報集め
私が教わった値付けの方法は「商品が売れる最大の価格に値付けをする」であった。これは前職のサラリーマン時代に、会社の社長から直接教えてもらったことだ。なので、前述したような「商品原価率」や会社のルールに基づいてはいない。先に書いた条件に合わせて書くならば、利益率が50%を切ることあれば、商品原価の3倍の販売価格をつけることもある。つまり、商品の「価値」によって売価を決めるのであった。これがなかなか難しいわけだ。ちなみに、私がネットショップ運営者時代に販売していたのは(ご存じの方もいると思うが)プチプラジュエリーだった。
では具体的にどうやって販売価格を決めていたかの話をしよう。まず、値付けの前段階として大切になるのは、「市場価格」だ。これまで過去に自社で販売した商品から値付けする商品と条件が近しいものを抽出する。似た条件の商品でも、「売れた商品」と「売れなかった商品」があるので、値付けする商品との価格と条件を見比べる。そして、次は競合のネットショップなど、他のショップの価格を調査する。ここも「ブランドがある」「ブランドがない」など条件が異なる。様々な要素を加味して、「売れる最大の価格」を決めるわけだ。
新商品を発売する際は、新商品と値付けした価格をもって社長の最終決裁を取るのが通例だった。「まこっちゃん、これなんで8,900円にしたの?」とかよく聞かれたものだ。次回も「値付け」についてのエピソードをお伝えしたいと思う。
つづく。
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