ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

勝負はページに入る前に決まる!仕入れ型ECで成果を出すための改善法【no.2226】 

 先日、楽天市場が毎月表彰している「月間優良ショップ」に、長年ECMJが顧問を務めているネットショップが選ばれました。楽天市場に出店する多くのショップの中から、その月に優れた成果を出した店舗が表彰される制度です。

*ECの運営体制の変化、からの約1年

 これまでにも売上が大きく伸びた月はありましたが、今回受賞につながったのは、おそらく売上の昨対比の向上が大きかったからなのではないかと思います。この約1年で特に変化があったのは運営体制の変化でした。コロナ禍の途中から2年ほどEC担当者が不在となり、最小限の運営しかできていませんでした。しかし昨年夏、新しいEC専任の担当者が入り、そこから改めて本格的に支援を再開。約1年をかけて積み重ねた取り組みが、今回の成果につながったのです。

 ECを伝える側としてポイントになったのは、新任の担当者がEC経験ゼロだった点でした。最初の数週間は「ECの原理」を徹底して伝えました。売上ができる仕組み、データの意味、マーケティング活動の基本的な構造。作業を指示するだけではなく、その背景を理解してもらうことに時間をかけました。その後、早い段階でオフィスを訪問(遠方です)し、顔を合わせて大まかな方向性をすり合わせました。どのポイントに重点を置くかを決め、複数の改善策を同時に走らせるのではなく、ひとつに絞って取り組んでもらうことにしたのです。

*上位30商品を1商品ずつ丁寧に分析

 この会社は仕入れ商品を扱っています。仕入れ商品は、競合が多数存在するため差別化が難しいというデメリットがありますが、一方でメリットもあります。それは「需要がすでに存在している」ことです。市場に一定のニーズがあるからこそ、仕入れ商品として流通「し続けて」いる。つまり、競合に流れている需要をいかに自分たちに振り向けられるかが勝負のカギになります。

 取り組んだのは「単品ごとの徹底分析」です。商品別販売実績管理表を作り、商品ごとにセッション数や売上を並べ、上位30〜40商品に絞って検証しました。ネットショップの全商品を対象に薄く広く分析に取り組むのではなく、需要が大きいと思われる上位商品にリソースを集中させることを重視しました。需要の大きい商品の導線を取ってくることができれば、そのインパクトは大きく、成果につながりやすいのです。

 実際に楽天市場の検索バーから検索し、競合店舗との比較を行います。1商品ずつ丁寧に「どうすれば自分たちの店を選んでもらえるか」を考え、改善を進めました。もちろんテール商品の改善も意味はありますが、限られた時間と労力を考えると効率は低い。だからこそ、上位商品に絞った徹底が有効なのです。

*「選ばれる理由」をどこにつくるか

 しかし、分析を進める中で大きな壁も見えてきます。単品ごとで比較すると、多くのケースで「送料」という観点から競合に勝てないのです。店舗の所在地が遠方のため、関東や近畿にある競合店と比べてどうしても送料が高くなる。同じ仕入れ商品で価格も横並びとなると、単品勝負では不利になる場面が多かったのです。

 ではどうするか。ここからは詳しくは書けませんが、重要なヒントがあります。それは「勝負は商品ページに入る前から始まっている」ということです。ショッピングモールでは検索結果に商品がずらりと並びます。その時点でお客様は条件を見比べ、どの店舗を選ぶかをほぼ決めているのです。つまり、自社の商品ページにアクセスしてくれるお客様のセッション数は、「すでに選ばれた後の数字」なのです。

 だからこそ、ページ改善だけに力を注ぐのでは不十分です。検索結果の一覧上でどう見えるか、どう比較されているかを意識することが何より重要です。送料や価格で不利でも、他の条件や見せ方で「選ばれる理由」を作ることができれば、需要を取ってこれる余地は必ずあります。

 今回の取り組みを振り返ると、改めて「ECの基本」に立ち返ることの大切さを実感しました。上位商品を徹底的に分析し、選ばれる理由をつくる。シンプルですが、成果に直結する王道です。その積み重ねが、今回の成果につながりました。考え方と進め方をしっかり整えれば、仕入れ商品を扱うショップでも十分に成果を上げられることを示せた。私自身もお客様と共に挑戦し、実際に結果を出せたことが自信につながりました。

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから