ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「効いている部分」を見極める。中小ECが勝つための集中戦略【no.2233】

 ネットショップの運営には、実にたくさんの仕事があります。

 新商品の登録、キャンペーンやポイント施策、SNSでの情報発信、メルマガ、サービス改善・・どれも大切に思えて、全部に均等に力を注いでしまいがちです。しかし、この「全部をやる」姿勢では成果が出にくいのが現実です。

*成果に「効いている部分」を特定しよう

 とくに中小企業のEC運営においては、人員も時間も予算も限られています。限られたリソースをあれにもこれにも振り分けてしまうと、どの施策も中途半端になり、結果的に売上に大きくはつながりません。むしろ成果に「効いている部分」を特定し、そこに集中することで、はじめて大きな成果を手にすることができるのです。

 この考え方を表すのが「80対20の法則(パレートの法則)」です。

 成果の8割は全体の2割の要素から生まれる、というものです。ご存じの方も多いでしょう。実際、この法則はECに限らずビジネス全般に当てはまることが多いですが、インターネットビジネスではこの偏りがさらに極端になりやすいのが特徴といえます。ときには90対10、あるいは95対5というように、ほんの一部の施策や商品が成果の大部分を生み出すのです。

 たとえば、あるショップでは売上の半分以上が特定の人気商品から生まれていたり、あるキャンペーン施策が新規顧客獲得の大部分を担っていたりすることがあります。逆に、毎週・毎日のように配信しているメルマガやSNSの更新が、それほど大きな成果を出していない場合も少なくありません。

*集中することで、効いてる要素がわかる

 大切なのは「何が成果に効いているのか」を知ることです。そのためには、短期的に特定の施策にリソースを集中させ、検証する姿勢が欠かせません。たとえば1週間から1か月の間、SNS施策に力を入れて数値の変化を測る。別の期間にはメルマガや広告に集中して比較する。そうして「通常期より明らかに数字を押し上げた要素はどれか」を見極めるのです。

 そしてこのとき、成果の判断は感覚や思い込みではなく、必ずデータを基準にして判断することが重要です。アクセス数、コンバージョン率(CVR)、売上などの数値を壁打ちの相手にして、「効いた」と言える根拠を可視化する。この過程の中で効き目の強い施策を見つけたら、その部分を徹底的に磨き込み、リソースを集中投下していきます。

 逆に、効いていない施策から思い切って手を引く判断も必要です。中小企業にとって一番のリスクは「全部をなんとなく続けてしまうこと」です。成果につながらない取り組みを続けても、リソースを消耗するだけで売上は伸びません。だからこそ「やめる勇気」もまた成果を生むための条件になります。

*「偏りを前提に集中する」こと

 インターネットの世界では、突出した要素だけが人目に触れ、話題になり、売上やセッション数を引っ張っていくという現象が頻繁に起こります。逆に言えば、どこかに「効いている部分」を見つけて徹底的に叩かない限り、顧客に見つけてもらう、知ってもらうことすら難しいものなのです。

 ネットショップのマーケティングを成功させるために必要なのは、「すべてを均等にやる」ことではありません。「偏りを前提に集中する」ことです。成果のほとんどは一部から生まれます。その事実を受け入れ、効いている要素を見極めて徹底的に叩き続ける思考習慣を持つこと。それが限られたリソースから成果を最大化する、中小企業のEC運営に欠かせない戦略なのです。

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから