競合は教材。お客様になって学ぶマーケティング【no.2235】
ECのマーケティングについて、自己流を貫いている会社さんも多いのではないしょうか。どの商品を主力にするか、どんなキャンペーンを仕掛けるか、どのように認知を広げていくか・・もちろん自分たちで考えることは大切ですが、それだけにこだわってしまうと視野が狭くなりがちです。
そこで意識したいのが、「他社のマーケティングを活用する」という視点です。
*ECの「移動コストゼロ」を運営側も活用する
ECの大きな特徴は、移動コストがゼロであること。お客様にとっては、ボタンひとつで他のショップに移動できるというメリットがありますが、同時にECサイトを運営する側にとっても、他のショップを調査するハードルが非常に低いというメリットがあります。
実店舗なら競合調査には移動の手間がかかります。新宿の店を見に行った後に、横浜や大宮のお店も回るのは時間もコストもかかります。しかしネットなら、同じ場所にいながら簡単に複数の競合を観察できます。この構造を活かさない手はありません。
*「つまみ食い」はやめよう!
ただし、競合を参考にするときにやってはいけない方法があります。「つまみ食い的に真似をする」ことです。あの店のここが良さそう、この店のこの仕組みは使えそう、といった具合に、いろいろなショップから部分的に施策を拾ってくるのは一見合理的に思えますが、実は危険です。
理由はふたつあります。
ひとつは、その施策が本当に成果を出しているかどうかを、私たちが外から判断することはできないからです。表面的には良さそうに見えても、実際には売上につながっていないかもしれません。もうひとつは、自分たちが「これは良い」と思う基準そのものが、まだ成熟していない可能性があるからです。判断力が育っていない段階で「あれも良さそう、これも良さそう」と拾い集めると、結果的に軸がブレてしまい、方向性を見失うことになります。
*真似をしきればなにかに「気づく」
おすすめなのは、「1店舗に絞って徹底的に真似をする」ことです。自分たちより明らかに売上規模の大きい店舗を選び、そのお店のマーケティングを徹底的に研究します。そして大切なのは、研究をするだけでなく、実際に「お客様になる」ことがポイントです。
商品を購入し、どのタイミングでどんなメールが届くのかを体験する。SNSをフォローして、毎日どんな投稿をしているかを観察する。Instagramはストーリーズが中心なのか、投稿が中心なのか、リール動画が中心なのかを見極める。キャンペーンやイベントに参加して、顧客を巻き込む仕掛けを体感する。こうしてお客様の立場に回ってみることで、競合がどのようにマーケティングを組み立てているかがよくわかります。
そして大切なのは、徹底的に真似をすること。「これは意味がないのでは?」「自社には合わないのでは?」と途中で判断してしまうと効果が薄れます。なぜなら、その施策を選んでいる背景には必ず理由があるからです。売上上位のショップは自社よりも判断のノウハウを持っているはずです。私たちが理由を理解できなくても、まずはそのまま真似てみることに意味があります。
*オリジンのマーケティング
実店舗の世界の良い例です。オリジン弁当の創業期の話をご存じの方も多いでしょう。まだベンチャーで出店余力がなかった頃、オリジンは出店場所をどう決めたか。細かい調査をする資金はない。そこで「セブンイレブンの隣に出店する」と決めたのです。セブンイレブンの直営店は、本部が緻密なマーケティング調査をした上で出店をしています。ならばその隣に出せば、動線やターゲットは間違いないというわけです。あとは「できたての温かい弁当をどうぞ」というポジションで勝負する。
この考え方はECにも応用できます。すでに先行して成功している店舗は、私たちの前を走る「先輩」のような存在です。なぜそれをやっているのか理由が分からなくても、徹底的に真似る。まずはそこから始めることが、自社のマーケティングを一段引き上げる近道になるのです。
カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 2.Eコマースを続ける, 4.Eコマースの人財育成, 5.Eコマースの分析
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