ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ECの基本は「発掘→育成→拡散」。型を外すと成果は出ない【no.2237】

 ECのマーケティングには型があります。あれこれと工夫を凝らすように見えて、根本の流れはとてもシンプルなのです。

 基本は「売れそうな商品を発掘し、育成し、拡散する」こと。この流れを踏まずに近道をしようとすると、広告費が無駄になったり、集客ばかりに力を入れて利益が残らなったりといったことが起こります。だからこそ、まずは型を理解することが大切です。

*複数の商品だすから「比較」ができる

 最初に意識したいのは、「1本勝負をしない」ということです。自分たちの主観で「これは絶対に売れる」と信じて商品を出しても、実際には思ったように売れないことの方が多いのが現実です。市場は広く、競合は数え切れないほど存在します。自分たちがまだ知らない競合もたくさんあるのです。だから最初は数を出す。20商品でも30商品でもいいですし、単品通販の会社ならセット組みや定期購入、サンプル、ターゲットを変えたページなど、バリエーションを複数走らせるのです。

 そうして複数の商品やバリエーションを市場に出すと、見えてくるのは「位置づけ」です。これを4つの象限に分けて考えましょう。

*複数の商品から「育てる商品」を見出す

 ひとつ目は「お客様に見られないし売れない商品」。これは当然ながら多く出てきます。ふたつ目は「お客様に見られるけれど売れない商品」。ページは見られているのに購入されないのは、競合比較で負けている可能性が高いです。みっつ目は「お客様に見られていないけれど売れている商品」。これは露出が少ないだけで、もっと多くの人に見てもらえば伸びる可能性を秘めています。そしてよっつ目が「お客様に見られるし売れる商品」。これは理想の象限であり、ヒット商品の芽と呼べる存在です。

 重要なのは、最初からよっつ目の商品を作ろうとしないことです。最初から「お客様に見られるし売れる商品」を狙って作るのは簡単ではありません。商品を発売すると、ほとんどがひとつ目からみっつ目のどこかに入ります。大切なのは、象限ごとの商品をどう育てていくかです。「お客様に見られるけれど売れない」商品なら、商品力や提案力を磨いたり、他社との差別化を工夫する。「お客様に見られていないけれど売れている」商品なら、露出を増やして伸ばしていく。この積み重ねの先に、ようやく「お客様に見られるし売れる商品」が現れてくるのです。

*「育てた商品」を拡散していく

 では、その「ヒット商品の芽」をどう扱うか。ここで初めて広告やSNSでの拡散を検討します。逆に初期の段階で広告を打ってしまうと、費用対効果が合わないリスクが高いのです。広告を回しても売れない、たとえ売れても利益が出ない、そんな結果になってしまう。だからこそまずは自社の中で「育つ商品」を見つけ、それを「磨き上げた」上で広告を投下する。これがマーケティングの正しい順序です。

 商品の拡散の段階では、広告費用と商品の利益率の関係、新規顧客の獲得単価、購入後のお客様のLTVといった数字の前提が必要になります。しかし、最初からこれらを難しく考える必要はありません。まずは大きな流れとして、「売れる商品を探す」「売れる商品を育てる」「育った商品に一気に集客を当てる」という順番を守ることが最優先です。この順序を間違えなければ、広告が利益を生む武器として機能します。

 ECの世界では、様々なマーケティングが語られていますが、結局はこの基本フローに集約されます。売れそうな商品を発掘し、育て、拡散する。この型を自社の中に根付かせることが、安定して成果を積み上げていく一番の近道なのです。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 3.Eコマースの収益アップ, 5.Eコマースの分析

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    ishida

    石田 麻琴 / コンサルタント

    株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから