アクセスではなく「顧客」を増やす。セッション数の真実【no.2245】
ネットショップの売上の公式といえば「セッション数 × コンバージョン率 × 客単価」です。この3つのデータ項目の中で、EC事業を拡大するために最終的な鍵を握るのは「セッション数」になります。
*セッション数がポイントになる理由
以前のコラムですでにお話ししたように、客単価はECサイトの顧客層そのものを表す数字です。短期的に客単価を2倍や3倍にすることはできません。コンバージョン率についても、ECサイトが成長し新規のお客様が増えれば、むしろ数字は自然に下がっていく傾向にあります。となれば、EC事業を拡大するためには「セッション数を増やす」しかないのです。
ひとつのポイントとして、セッション数は「足し算」で積み上げていく数字です。客単価やコンバージョン率のように「割り算」で算出されるものではありません。シンプルに「多ければ多いほど良い」という数字です。だからこそ、数値目標が立てやすくなります。「コンバージョン率を10%から15%に上げよう」という目標は、分母と分子の関係がありわかりづらいですが、「セッション数を1,000から1,500に増やそう」であれば明確。セッション数はEC運営者にとって追いやすい数字でもあるのです。
*3つの方法+αに整理しよう
では、セッション数をどうやって増やすのか。大きく分けて3つの方法+αがあります。
1つ目は「広告」です。リスティング広告やアフィリエイト広告、SNS広告など、さまざまな種類があります。本来広告は、自社でヒット商品が生まれ、それを拡大する段階で使うのが理想です。なぜなら、費用対効果(ROI)が合わないからです。ただし、オープン初期のショップは、そもそもセッションが少なすぎてデータが取れません。そういう時は少額でも広告を使い、「マーケティングのためのデータを集める」と割り切って使うことも有効です。売上を作るためではなく、検証のために広告を使うわけです。
2つ目は「検索」です。お客様は課題解決や目的達成のために、Googleなどの検索エンジンやモール内検索を行います。最近ではSNSで検索するケースも増えています。検索にヒットする仕組みを作ることが必要です。コンテンツマーケティングで記事や解説ページを作る。SNSにお役立ち投稿を継続する。大切なのは「お客様のニーズを読んで、そのニーズに応える設計をすること」です。単にキーワードを並べるのではなく、検索するお客様の意図に応じた情報を提供することが、セッション数の増加につながります。
3つ目は「メディア」です。メディアには大きく分けて2種類あります。ひとつは新聞やテレビ、ネット媒体などのマスメディア。広報やPR活動を行うことで取り上げてもらえれば、一気にアクセスが集まる可能性があります。もうひとつはSNSです。SNSは個人が発信するメディアでもあり、SNSでの拡散はバズるかどうかという「他力本願」的な側面もあります。しかし、自社の商品やサービスをトレンドに合わせた工夫をして発信することで、多くの人に認知してもらえる可能性が広がります。
そしてプラスアルファが「リアルからの送客」です。実店舗を持っている企業であれば、店頭でオンラインショップを紹介する。顧客リストを持っている企業であれば、顧客リストを活用して送客する。リアル接点を活かしてネットに誘導することも、セッション数を増やす有効な手段になります。
*「顧客」を増やす意識をもつ
今回「セッション数を増やす方法」を整理しましたが、最後に忘れてはいけないことがあります。それは「逆算のマーケティング」を必ずおこなうことです。どの集客経路が、最終的に新しいお客様の獲得や、長く利用してくれる顧客につながっているのか。必ずデータから逆算をして確認をしていきましょう。セッション数は「多ければ多いほど良い」数字ですが、ただ集めるだけからワンランクアップさせることが大切です。
つまり、重要なのは「セッション」ではなく「顧客」です。新規集客ではなく新規顧客を増やすこと。そのために、自社の商品・顧客にとって最適な集客方法を見極めること。セッション数を増やす努力と同時に、出口の顧客獲得までを一体で考えることが、ECのマーケティングでは欠かせません。
セッション数は一見シンプルで分かりやすい指標です。しかし「どの動線が成果に結びつくのか」を見極めなければ、数字の積み上げはただの自己満足に終わってしまいます。だからこそ、逆算の視点で「新規顧客獲得につながるセッション数の増やし方」を考えていくことが重要なのです。
カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 2.Eコマースを続ける, 5.Eコマースの分析, 8.Eコマースの集客
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