1999年のネットへの違和感と、2026年のAIへの違和感【no.2253】
2026年最初のECMJコラムは、少し昔の話からのスタートです。
1999年、私が初めてインターネットに触れたのは、大学に入学したばかりの頃でした。当時、4つ上の姉が自分の部屋にパソコンを買い、インターネット回線を引いたことがきっかけです。21時を過ぎると使い放題になる回線契約。姉が外出している夜の時間帯だけ、こっそりインターネットを触っていた記憶があります。
*ネット、全然詳しくないじゃん!!
その頃、私が夢中になっていたのはインディーズバンドでした。中学からバンド活動をしていたこともあり、メロコア系のインディーズシーンを追いかけ、どのバンドがどこでライブをするのか、どのメンバーとどのメンバーの仲が良いのか、どんなフェスイベントが企画されているのか。そういった情報を同じ趣味をもつ友人と交換するのが日常でした。
だからこそ、インターネットを触ったとき強く期待しました。「きっとネットには、もっとディープな情報が載っているはずだ」と。
ところが、実際に調べてみるとネットの情報は驚くほど浅い。表に出ているプロフィールや公式情報ばかりで、シーンの内側にいる人間だけが知っているような関係性や裏話は、ほとんど載っていませんでした。あのとき感じた「インターネットって、思ったより情報が薄いんだな」という感覚は、今でも強く覚えています。
*偏差値55からのスタートは容易に
そして今、AIを使いながら同じ感覚を覚えています。
AIは非常に優秀です。どんなテーマであっても、基礎知識を一気に引き上げてくれます。これまでなら何冊も本を読んだり、時間をかけて調べたりしなければならなかった分野を、偏差値55くらいの理解度までなら、驚くほど短時間で到達できる。これは革命的です。しかし、偏差値65~70、さらにその先を目指そうとした瞬間に、AIは急に静かになります。なぜなら、そこに必要なのはネットには載っていない「専門的な深い情報」だからです。
大学時代、Aというインディーズバンドがありました。正直そこまで演奏が上手いわけでも、曲が突出して良いわけでもありません。それでもAはなぜか大きなフェスに呼ばれ、有名バンドと次々に共演していました。もし今AIに「なぜAは売れているのか?」と聞けば、音楽性やメンバーの個性、時代性といった、もっともらしい理由を並べるでしょう。
でも、実際の理由は違います。そのバンドは、当時のシーンの中心にいたバンドと中学・高校の先輩後輩関係にあり、単にかわいがられていた。それだけの話なのです。そして、その「中心のバンドと一緒にライブをしている」という事実が積み重なることで、「あのバンド、すごいらしい」という空気が生まれ、評価が形成されていきました。
こういう話は、インターネットにも載らないし、AIも知らないんですよね。なぜなら「現場」からしか知り得ない一次情報だから。
*オンラインだけで完結する、わけはない
ネットやアプリで出会って結婚した人はたくさんいます。私の周りにも、SNSがきっかけで、オンラインゲームがきっかけで、というカップルが何組かいます。しかし、誰ひとりとして、オンライン上で出会い、オンライン上で結婚し、オンライン上で同棲している人はいません。当たり前ですかね。だって、「オンラインでなんでも完結する」といわれている時代ですよ?でも、人は必ずリアルで会い、同じ空間を共有し、フィジカルな関係性を築いているんですよね。
結局のところ、人間の意思決定や信頼形成の中には、必ずオフライン、フィジカルな体験が挟まるということではないでしょうか。そして、そのフィジカルな場でしか生まれない情報こそが、これからのAI時代のキーポイントになるように思うのです。
AIの波は、2026年さらに大きくなります。どんな施策も、どんな業務も、AIを使えば偏差値55からスタートできる時代です。これは間違いありません。ただし、その状態は「みんなが同じスタートラインに立っている」ということでもあります。だからこそ、これからは偏差値65、70をどこで取りにいくのかが重要。その答えは、「フィジカルの使い方」です。あくまで「事件は現場で起きている」わけです。
カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 9.Eコマースこぼれ話
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