評価制度がデジタルのマーケティング文化を決める【no.2268】
EC事業を立ち上げ成長させていくときに、多くの会社が最初に考えるのは「どのプラットフォームを利用するか」「どの媒体にインターネット広告を打つか」「どんな商品ページをつくるか」といったマーケティング施策です。もちろんEC事業の成長のためにこれらも大切ですが、実はもっと見逃してはいけないポイントがあります。それが社内の「評価制度」です。ちょっと意外な指摘に感じられる方もいるでしょう。
*社内協力を依頼したときの不安感
評価制度と聞くと、人事や総務の領域だと思われがちです。ECにおけるマーケティング施策とは直接結びつかない印象を持つ方も多いでしょう。しかしEC事業を既存事業の上に積み上げていくとき、会社全体の協力がなければ成長そして成功はあり得ません。その社内メンバーの協力体制を引き出すカギを握るのが、「評価制度」なのです。
たとえば長く実店舗を展開している会社が新たにEC事業を始めるとします。経営陣は「会社としてECを強化するので、店舗の皆さんも協力してもらいます」と宣言をします。いつ店舗のスタッフのみなさんも「わかりました、頑張ります!」と答えるでしょう。ところが、スタッフのみなさんの心の中にはさまざまな不安が渦巻いています。
「オンラインショップが伸びたら自分の店舗の売上が下がってしまうのではないか」
「自分たちの評価が店舗の売上で決まるならば、ECが伸びることはむしろマイナスになるのではないか」
「最終的には自分の仕事がなくなったり、店舗のメンバーの人数が減っていくのではないか」
*店舗とECが競合にならないように
既存スタッフのみなさんがこのような気持ちを抱えたままでは、本気でECの成長をサポートする行動は生まれません。たとえば、実店舗にいらっしゃるお客様に「この商品はオンラインショップでも購入できますよ。自宅に帰られてからも確認されてみてください」と案内することさえ、結果的に自分たちの評価を下げる行為に見えてしまうからです。その結末として、店舗とECが社内で競合関係のようになり、お客様にとっても不便な存在になってしまいます。
もちろん現代はお客様が自身の都合に合う購入チャネルを自由に選ぶ時代です。自社EC、ショッピングモール、実店舗、カタログ通販、どこで買うかはお客様が状況に合わせて決めればいいのです。だからこそ販売側が社内でチャネル間の争いをしていては、お客様に選ばれる理由を失ってしまうのです。
*みんなで前を向ける体制をつくる
こういったことを防ぐためにどうするべきか。答えはシンプルです。社内の「評価制度」を見直すことです。たとえば、ECの売上を単独のネット部門だけの成果と定義するのではなく、ブランド全体の成果として全社的なものとして扱う。あるいはECの売上を実店舗にも配分し、店舗スタッフが「ネットショップが伸びれば自分たちの評価も上がる」と思える仕組みをつくることが大切です。そうすれば店舗の人も安心してお客様にオンラインショップを案内でき、結果的に会社全体の売上が伸びる好循環が生まれます。
「評価制度」は一度決めてしまうと長く固定化されやすく、摩擦が文化として定着してしまう危険があります。だからこそ、ECを立ち上げる最初の段階で制度を整えておくことが肝心です。協力し合えばみんながうれしい、そんな「評価制度」をつくることが、デジタルを活用したマーケティング文化の基盤になるのです。
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