ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

EC事業における「会計数値」を理解しよう!【no.1276】

 EC事業における「会計数値」を理解しよう!

 EC事業で面白いのが、売上目標を決めると2種類の指標が設定されることです。ECMJではひとつを「会計数値」もうひとつを「事業数値」と呼んでいます。まずは「会計数値」について紹介をします。売上目標を決めると、いくら利益が残るのか。そのコスト構造を理解することに役立ちます。

*売上(目標)

 オンラインショップの売上目標としてあげられることが多いのは月商です。前年同月の売上と比較して「10%増で頑張ろう」などと目標を設定することができます。実店舗と異なり、オンラインショップは月ごとの売上変動が大きいことも特徴です。今回、仮に月商の売上目標を1,000万円としましょう。

*商品原価率

 オンラインショップで販売している商品の原価率を表します。商品を仕入れて販売している場合、いわゆる「掛け率」が商品原価率になります。自社で商品をつくっているオンラインショップは20~50%。仕入れで販売をしているオンラインショップは40~65%。このあたりがボリュームゾーンでしょうか。商品が自社製造で商品原価率40%なら、月商1,000万円のうち400万円が商品原価です。

*システム利用料

 ショッピングモールの出店費用やロイヤルティ、カートASPのレンタル費や付与ポイント。またクレジットカードの料率もシステム利用料に加算されます。出店費用やレンタル費は固定の金額で費用がかかるものです。そしてロイヤルティやポイントやカードの料率は売上によって費用が異なります。ショッピングモールに出店する場合はシステム利用料として概ね10%。自社サイトの場合は6%ほどを見た方が良さそうです。ショッピングモール出店の場合、月商1,000万円でシステム利用料が100万円です。

*固定費

 運営担当者の人件費、オフィスの賃料、物流倉庫の賃料などが固定費に含まれます。月商1,000万円のオンラインショップの場合、運営担当者が2人は必要です。また、アシスタントのアルバイトも数人必要になります。商材や会社のスタンスによりけりですが、売上の10%ほどをまず固定費に見込みましょう。月商1,000万円ならば、固定費は100万円です。

*物流費

 月商1,000万円の中に配送料金を含んでいるならば、物流費も少なくありません。物流費は発送件数によって上下します。たとえば、客単価1万円であれば、月1,000件の発送です。客単価が半分になれば、発送件数は倍になります。配送する商品のサイズ、重さ、地域にもよりますが、月2,000件の発送ならば、20万円弱のコストがかかります。ここは本当に様々なので、あくまで目安と考えてください。

*広告費

 自社のオンラインショップを広く認知してもらうための手段として広告があります。広告を使わないで売上を上げられればそれに越したことはありません。しかし、EC事業に加速をつける意味でも広告に頼る場面はありえます。売上における広告費率の目安は、通常5~15%ほどです。ここも様々ですが、月商1,000万円であれば月間で100万円ほどを広告に使うイメージです。商材によっては50%以上広告費、というところもあります。

 まずはECにおける「会計数値」について紹介をしました。上記の他にも隠れたコスト「在庫金額」というものがあります。入ってくるお金(=売上)、出ていくお金(=経費)、寝てしまうお金(=在庫)の3つをきちんと追っていきたいですね。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。