ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

売上をつくりだすふたつの波。土台とトレンドを整理しよう。【no.1412】

(2017年8月のコラムです)

売上はふたつの波によって成り立っています。これはネットショップに限らず、すべての商売にいえることです。

*売上のふたつの波とは。

ひとつの波は土台です。売上の土台は基本的に時間と比例して伸びていきます。適切な努力を繰り返し継続していくことで土台部分の売上は着実に伸ばしていくことができます。この売上の土台が既存顧客・リピート顧客だとは一概に言い切れませんが、定期的な購入が土台になっているのは言うまでもありません。

もうひとつの波はトレンドです。トレンドの売上は土台の上に重なっています。この売上は時間と比例して伸びるわけではなく、まさに波を打つように上下の動きを繰り返しています。トレンドにはまれば波は上に伸び、トレンドから外れれば波は下に下がります。

まずは「土台+トレンド」で売上が出来上がっていることを理解しましょう。

*自社の売上の状態を整理する。

現在の自社の売上の状態を整理すると果たしてどうでしょうか。売上を改善に切り分けることができなくても、土台としての売上はどのくらいか、トレンドとしての売上がどれくらいか、なんとなく整理ができるはずです。

ネットショップの売上を構成する要素・重要な指標である「アクセス数」と「受注件数」を土台とトレンドに振り分けてみてください。受注件数ならば、長く売れ続けている定番の商品(=土台)と、季節性のある商品や新作の商品(=トレンド)に分けることができるはずです。

ここで大切なのは「トレンドの売上は大きく落ちる可能性がある」ということを認識することでしょう。

*トレンドの波は何によって起こっているのか。

否が応でも売上の成長を左右しているのはトレンド面の売上です。ここが伸びることでネットショップの売上も大きく伸びていきます。自社の売上の中でトレンドの売上がいかほどかを整理した後、それが「自社の仕掛けによって獲得できている売上」なのか「自社の仕掛けではなく市場環境の変化によって獲得できている売上」なのかを考えてみてください。

もし後者の「自社の仕掛けではなく市場環境の変化によって獲得できている売上」だった場合、ここの売上に頼るのは非常に危険です。トレンドの売上はどこで落ちるかわかりませんし、自社でコントロールできるわけでもありませんからリカバリーも不可能です。次のトレンドがくるまでじっと待つしかできなくなります。

トレンドの判断ができていないと、トレンドの売上に合わせてネットショップ運営の体制をつくってしまいがちです。オフィスの移転やスタッフの増員などを売上に合わせておこなうと、後々固定費が重くのしかかることになる可能性があります。

*トレンドの売上を土台の売上化していく努力。

トレンドの売上をしっかりとる、ただあくまでトレンドの売上として理解をしておく。トレンドの売上はどこかで無くなります。トレンドの売上が下がったときに、土台の売上を着実にアップさせておけば次のトレンドへの仕掛けや準備がおこないやすくなります。

トレンドはネットショップのことを知ってもらえる絶好のチャンスです。土台の売上はトレンドとは別に積み重なっていくのではなく、トレンドでやってきたお客様の一部が土台のお客様になっていってくれます。トレンドの売上が上がるタイミングは土台の売上を上げるタイミングでもあるのです。

まずはトレンドの売上があるときにサービス面で手を抜かないこと。受注が一気に増えても、通常のネットショップの更新を緩めないこと。トレンドから土台へお客様がどれくらい移動してくれているかを定期的にデータでチェックすること。この3つが肝心です。

トレンドが去った後に無残な姿にならないように・・。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから