ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップの「売るための仕事をする時間」を設定する【no.1493】

 多くのネットショップが抱える問題として「売るために時間を使えていない」というのがあります。

 ネットショップの仕事は7つに分かれるとお話しています。「商品企画/商材開拓」「WEB制作」「集客」「運営」「受注/データベース管理」「物流」「カスタマーサポート」の7つです。この7つはふたつに分けることができます。「商品企画/商材開拓」「WEB制作」「集客」「運営」の4つと、「受注/データベース管理」「物流」「カスタマーサポート」の3つ。前者が「売るための仕事=フロントヤードの仕事」、後者が「注文後の仕事=バックオフィスの仕事」です。

 ネットショップ運営においてよくあるのがバックオフィスの仕事で日々が終わってしまうパターンです。前日注文いただいたお客様の受注データを確認して、売れた商品と個別の要望に対応する。在庫をピッキングして、物流処理に回す。商品を梱包し、納品書を入れ、配送業者に回す。お客様から返品交換の連絡や商品についての問い合わせがきたら対応する。これらの仕事でネットショップ運営の1日が終わってしまっている事業者さんも多いのではないでしょうか。

 この1週間でどれくらいの時間をネットショップ運営につかったかを思いだしてみてください。そして、その中で「受注/データベース管理」「物流」「カスタマーサポート」のバックオフィスの仕事にどれくらいの時間をつかったかを思いだしてみましょう。日々ネットショップを運営していく中で、フロントヤードの仕事よりもバックヤードの仕事にほとんどの時間をつかっていたとしたら、ネットショップの成長は若干不安です。

 バックオフィスの仕事はネットショップ運営に必ずついてまわる仕事です。お客様から注文がきたら商品を発送しなくてはいけませんし、お客様から問い合わせがきたら電話やメールを受けて対応しなければいけません。注文や問い合わせの数だけ仕事があります。不可避の仕事です。もちろん、バックオフィスの仕事だけだとネットショップが成長しない、とも言いきれません。丁寧な問い合わせ対応や迅速な発送体制を整備することで、ネットショップのリピーターも増えていきます。

 ただ、ネットショップ運営において時間をつかいたいのは、あくまでフロントヤードの仕事です。1日のネットショップ運営の仕事の大部分がバックオフィスの仕事だけで終わってしまっているならば、改善が必要になります。

 ネットショップの運営レベルにもよりますが、パソコンのエクセルに強くなることや、デュアルモニターで運営業務をおこなうこと、受注/発送/顧客管理も月1万円程度で導入できるシステムがあります。お客様の電話対応以外のバックオフィスの仕事の課題は基本的に「効率化」です。短い時間で多くの注文・発送をさばくことを意識して、文明の利器に頼っていくのが良いと思います。自力で踏ん張る事業者さんも多いですが、そこは素直に。

 そしてやはり大切なのが「売るための仕事をする時間」をつくることです。バックオフィスの仕事は不可避の仕事ですから注文毎に必然的に対応することになります。フロントヤードの仕事は特段こなさなくてもネットショップは回っていきますから、不可避の仕事というわけでもありません。ただ、ネットショップの売上を成長させたいならば「売るための仕事をする時間」を準備しましょう。

 そのためにもまずはネットショップの「売るための仕事をする時間」を設定することです。毎日1時間はフロントヤードの仕事に時間を使う、毎週水曜日の午後はフロントヤードの仕事に時間を使うなど、時間を空けましょう。ポイントは「具体的な施策」が決まったら時間を取るのではなく、「具体的な施策」が決まっていなくても「先に時間を取っておく」ことです。

 おわり。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。