ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ショッピングモールから自社サイトへ。ハードルが高い理由【no.1600】

 ショッピングモールでのEコマースを軸にしているネットショップが自社サイト(独自ドメインサイト)を軌道に乗せるのはなかなか難しいものです。

 ショッピングモール(楽天市場やYahoo!ショッピング)の月商が数千万だとしても、自社サイトの月商が10分の一なんてことはザラです。いまだにショッピングモール軸から自社サイト軸への切り替えの勉強会がたくさんあることも「難しさ」を物語っています。

*自社サイトで売上が上がっている会社の特徴

 Eコマース事業全体においての自社サイトでの売上比率が高い会社の特徴です。

 ひとつはリアルでのブランド認知があること。お客様からの認知があるので、検索エンジンからも「会社名」「店舗名」「サービス名」といった直接検索をしてもらうことができます。直接検索の多さは自社サイトの売上に比例します。ユニクロやBEAMSなどは本来であればショッピングモールにネットショップを出店する意味はありません。

 もうひとつは自社サイトからネットショップをスタートしていること。元々はショッピングモールに出店しておらずネットショップを開始したのが自社サイトだったという会社は自社サイトの売上比率が高くなります。といっても、市場環境を考えればいまから自社サイトのみでネットショップを展開するのは厳しく、2010年頃までに自社サイトでネットショップを始めた会社ならば、というイメージです。

*ショッピングモールの会社が自社サイト移行できない理由

 ショッピングモールで素晴らしい実績をつくっている会社でも自社サイトへの展開がスムーズにならないのにはいくつか理由が考えられます。もちろん各々の理由が繋がっているわけですが。

 ひとつにはショッピングモールのお客様はショッピングモールのお客様だということです。ショッピングモールの中でネットショップを利用してくれているお客様、メールマガジンのリストに追加されたお客様は「ショッピングモールの利用条件」上でのお客様であって、残念ながらそこまでネットショップのコンセプトやこだわりに共感しているわけでもない・・という。悲しい事実ですが。

 繋がってる理由になりますが、ショッピングモールでネットショップ運営をしていると気づかぬうちに「ショッピングモールのための」ネットショップ運営をする癖がついてしまうのかもしれません。ショッピングモール内の競合ネットショップをチェックしたり、ショッピングモール内の競合広告をチェックしたりする行為を繰り返すことで「マーケティングの視野」ショッピングモールの範疇に偏っていくという。

 もちろんショッピングモールで売上をつくる上では間違ってはいないです。引いた目線も重要かもしれません。

*お客様にとってのメリット・デメリットを考える

 ショッピングモールを軸にEコマースを展開している会社が自社サイトへの移行を考える理由のメインになるのは出店料やロイヤルティなどのシステム利用料、顧客リストの活用など「運営コスト」です。ただ、それは会社側の都合になります。大切なのはショッピングモールで購入するよりも自社サイトで購入した方が良い、と考える「お客様の都合」を考えることです。

 ショッピングモールのネットショップと自社サイトのネットショップ、扱っている商品・価格・販促企画が同じであればお客様はショッピングモールを選びます。会員IDをすでに持っていたり、ポイントがついたり「利用ストレス」が変わるからです。この「利用ストレス」を飛び越えるメリット、カバーするデメリットをまずは考えましょう。

 本当に自社のブランドに自信があるならば、将来的にショッピングモールの出店をやめるというのもひとつの手かもしれません。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 3.Eコマースの収益アップ

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。