「note」は果たして「小銭稼ぎ」のビジネスモデルなのか【no.1619】

 以前、「これはもったいない!植松エンジニアリングはすぐに自社ホームページを!」というコラムを書いたのですが、覚えていらっしゃる方はいますでしょうか?2015年11月のECMJコラムなので覚えている方は稀でしょうし、そもそもそのころにECMJコラムを知っていたという方も少ないかもしれません。

 このコラムについて簡単に説明をします。2015年11月28日に行われたボクシングの世界タイトルマッチで帝拳ジム所属の挑戦者・木村悠選手(現在は引退)が番狂わせの勝利を飾りました。木村さんはプロボクサーでありサラリーマンでもある「商社マンボクサー」としても知られていて、木村さんが当時(今はどうかわからない)務められていた会社が「植松エンジニアリング」という会社だったんですね。

 おそらく、木村さんが世界王者になったことがメディアで発信されたことによって「植松エンジニアリング」という会社のインターネット検索が一時的に増えたと思われるのですが、残念ながら「植松エンジニアリング」にはホームページがなかったのです。(いまもおそらくない)。「どこでどう注目されるかはわからないので、ホームページはつくっておいた方がいいよね」というコラムの内容でした。

 あれから2年半ほどが経ったわけですが、現役を引退されて元チャンピオンになった木村さんのTwitterに出会う機会があり、木村さん本人に「このコラム書いたの私です」と伝える機会もあり、それから木村さんの動向をSNS経由ですが追わしてもらっています。木村さんはボクシング観戦記や減量の方法などを「note(誰でも文章を投稿・課金できるプラットフォーム)」で発信しているのですが、そこでちょっとした出来事があったんですね。

 「自分の記事を有料で小銭稼ぎするのはやめた方がいい」という意見があったのです。木村さんとしては自分の足と目を使って専門家が書いた情報、そして自分で培ったノウハウなのだから有料であるのは当然だ、という考え方で全うな意見なのですが、よくあるデザイナーに「ちょっと無料でイラスト買いてよ」とかECMJのようなコンサル会社に対する「無料で教えてくれたっていいじゃん」的な意見とも同じく「有料化」というところの論争はいろんなところで起こっていると思うんですね。

 培ってきた知見やノウハウである以上「有料」であるのは当然ですし、「有料」の価値がなかったとしたらコンテンツが「リピート」されることもないのですから、その意識や覚悟をもった上で「有料」なのが普通ではないかと思います。

 ただ「note」のような「一見すると小銭稼ぎにみえてしまうようなビジネスモデル」にまだまだ人が慣れていないという部分もあるのだなと感じました。たとえば木村さんがボクシングマガジンや週刊文春などの雑誌媒体に寄稿された場合、当然ながら私たちが知らないところでまとまった原稿料が発生しているわけです。1本で2万円とか3万円が相場なのではないかと考えられます。(もっと低い場合も多いだろうけども)

 「note」などのコンテンツ課金のプラットフォームの場合、執筆者は「コンテンツ単価×購入数(読者数)」を予測して単価を設定するので課金としては少額になりどうしても「小銭稼ぎ」にみえてしまうんですね。コンテンツの購入者が5人なのか100人なのか1万人なのか結果はわかりませんが、トータルとすれば原稿料のようなまとまった金額になるわけです。

 なので、ユーザー側からみると一見「小銭稼ぎ」なんですが、ビジネスモデルとしてはそうではないと。この部分の理解ってまだまだ進んでいない部分があるし、インターネットの登場で「プロとアマチュア」の線引きも曖昧になってきているので「小銭稼ぎすんな!」の意見が出てくるのでしょうね。

 まあそんな「小銭稼ぎすんな!」を言ってたら、iTunesの1曲単位での購入なんか完全な「小銭稼ぎ」になってしまいますね・・。