ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

WEBプロジェクトを「本格的に」進めるための課題【no.1628】

 ネットに本格的に取り組む。口に出すことは簡単ですが、実際にWEBサイトを改善して売上に繋げていくことは大変です。

 ホームページやサービスサイト、ネットショップのような「受け皿」はある。でも、ほとんどサイトはつくったきりで年に数回(夏季休暇と年末年始の予定くらい)更新するだけで、ほぼ活用できてない。そんな会社が「ネットに本格的に取り組む」場合。WEBサイトを改善するノウハウの有無よりも向き合わなければいけない課題があります。

*WEBのプロジェクトを「本格的に」進めるために

 WEBのプロジェクトを「本格的に」進めるための本質的な課題。それは会社の「組織体制を変える」ことです。

 WEBサイトを改善するということは、WEBサイトを触ったりコンテンツを作成・追加したりデータを分析して仮説検証をしたり、「インターネットマーケティング」という新しい仕事を会社の業務に追加することになります。新しく「ネット担当」のスタッフを採用するならまだしも、ほとんどの会社では「まず社内の人財のリソースを活用して」となるわけです。

 営業の担当者、制作の担当者、システム構築の担当者、人事総務の担当者、皆さん「いまの仕事」を持っています。WEBを頑張ることで「インターネット経由の問い合わせが増えれば、新しい売上増える」ということはわかっていても、「でもいまの自分の仕事でいっぱいいっぱい」になりがちなのです。

*WEBプロジェクトのメンバーを選ぶ、会社全体で時間をつくる

 WEBサイトの改善は外注、コンテンツをつくるのも外注、インターネット広告をかけるのも外注、システム・制作も外注。予算があればすべてを外注することはできますが、自社のサービスを一番知っているのは自社のメンバーたちです。「完全に外注してWEBを進める」というわけにはいきません。

 WEBのプロジェクトメンバーは、全社から横断的にメンバーを選んでください。営業部だけとか総務部だけとかデザイン制作部だけとか、部門の偏りがないようにしましょう。WEBサイトの改善は「情報発信
」が軸です。情報発信は特定の部門だけでおこなうのではなく、会社全体でおこなっていきます。部門によって発信できる情報・専門性に違いがあるためです。

 また、WEBプロジェクトを進めるにあたって「WEBプロジェクト用の時間をつくること」が肝心です。情報発信を進めるため「いまの業務は8の時間を使っておこなう。2の時間は情報発信に使う」などとルールを決めましょう。ここを経営陣が社内に言い切れるか。ネットに「本格的に」取り組むための、最初かつ最大の課題です。

 社内から不平不満が出るでしょう。もしかしたら辞めてしまう人も出るかもしれません。でも、会社の文かを変えるには「腹」を決めなければいけません。覚悟です。

*WEBを改善する評価制度をつくる

 WEBプロジェクトに取り組むための「時間をとる」ことをルールにするとともに、経営陣・リーダー陣はWEBを改善することの「評価制度」をつくりたいところです。「時間をとる」「評価制度をつくる」このふたつがなければWEBのプロジェクトはメンバーにとっての優先順位が下に下になり続けていきます。訪れる未来は「プロジェクトの自然消滅」です。

 評価制度は「WEBサイトを改善する」「WEBサイトのコンテンツを制作する」「WEBサイトを分析し有効なデータを社内に提示する」など、「行動」によって評価できる項目を入れましょう。「売上高」「問い合わせ数」「資料請求数」など、成果の数字だけを評価する方法ももちろんありますが、「当初から想定しているほど、すぐには成果につながらない」のが現実です。

 雲をつかむような目標でモチベーションが下がらないように、まずは「行動」を評価するようにしましょう。サイトが回りはじめてきたら、成果の評価割合を強くしていってください。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 7.Eコマースのひと工夫

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。