ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

富裕層にターゲットを絞るためのポイント【no.1672】

 インターネットで富裕層にターゲットを絞る際のポイントについて考えていきたいと思う。

*富が二極化している時代のインターネット戦略

 富の二極化が加速している時代である。といっても、「金持ち」と「貧乏」に明確にふたつに分けられるわけでもないし、あくまで統計の推移だったり市場の原理から考えると、こと我々の属している日本という国については富がより二極化している。年収300万円時代といわれていたものが、年収200万円時代と言われるようになり、はたまたインターネットの登場により年齢の若い富裕層も増えた。アベノミクスと東京オリンピックの影響により、不動産を中心として「金持ちがもっと金持ちになる」状況も進んだと言われている。

 この数年で「資本主義の終焉」という言葉が叫ばれてはいるけれども、現実のところ「資本主義の終焉」の落しどころがいまいち見えない。「シェアリングエコノミー」はある種、富の二極化が進んでいる証拠に見えないこともないですし。

*インターネットで富裕層にターゲットを絞るために

 当然、富裕層に比べ中間層と貧困層(あまり良い表現とは思えないが)の方が圧倒的に人数が多いわけであり、マーケティングとしては圧倒的なマス層に向けて「品質が高く、価格が安い」サービスを圧倒的な数を提供する方法を取るのか、ニッチ層である富裕層に向けて「品質が超高く、価格も高く、利益率も高い」サービスを提供する方法を取るのか、判断が迷うところ。そんな中でも商材やサービスによっては、中間層や貧困層よりも富裕層向けに展開していきたい(というか、そちらにしかニーズがない)事業者も多いと思う。不動産やハイブランド自動車などですね。

 さて、ポイントはインターネットから集客として、この「富裕層」への認知拡大のアタックを仕掛けられるのかという話だが、「富裕層」へのアタックはネットよりもリアルの方がどちらといえば向いている。インターネットには富裕層しか閲覧できない時間帯は無いし、中間層や貧困層だからといって閲覧できないWEBサイトもない。誰が何をしようが勝手なのがインターネットで、それが新しい強者や新しい情報弱者を生んだりもしている背景もあるわけだ。

 ただ、ここで諦めてしまっては富裕層ターゲットの商材・サービスの展開はそこまで。あらゆる人間がインターネットを通じて自分に合ったサービスを探している時代(2020年には購買行動の85%がWEB上で決まるようになると言われている)だから、いかにして糸口を見つけ、富裕層にリーチする確率を上げていけるかが重要になる。簡単に諦めず知恵を絞ろう、というわけだ。

*富裕層がどう動いているかは、富裕層を知る

 デジタルの時代、様々な情報がデータ化され情報としてリンクされている。あるひとりの個人の属性を調べたければ、調べることができる。WEBのサービスで特定のIDを設定しており、クレジットカードの登録をしていればクレジットカード情報から個人が特定され、そこから年収のデータを予測することができてしまう。特定の顧客層に向けた広告を「富裕層の閲覧比率が多いと予測される」WEBサイトに配信することも可能。ただ、このようなシステムを使うことができるのは一部の大手企業だけ。その他の事業者は工夫を施して富裕層にリーチすることになる。

 もっとも大切なポイントをひとつだけ紹介したい。もし過去に富裕層のお客様からインターネット経由でアクションがあった場合、「そのお客様はなぜ自社のWEBサイトから問い合わせをしてくれたのか」その「選択動機」を調べることだ。未来へのヒントは自分たちの過去にある。ここを「徹底的に」調べることなく、未来の施策を考えるのは非常にもったいない。まずはこれまでのデータを見返し、「対象顧客の選択動機、購入動機」をリスト化するところから始めよう。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。