著者:石田 麻琴

企業の入社試験課題をプロなりに回答してみる。その5【no.1722】

(前回のコラムのつづきです)

 『A社(自社のこと)のEコマースの売上を予測し、2年後に売上を3倍にするためにはどうすればいいかを考えて提案してください』を回答してみる、の最終回。

*再・2年後に売上を3倍にするためには・・?

 前回のコラムでは「2年後に売上を3倍にするため」に「広告費を5倍にする」と書きました。今回の入社試験の条件として「利益が~」とか「広告費については~」というようなものはないので、ある意味これでも要件は満たしていると思われる。のだが、ちょっとヒキョウだし、もしかしたら面接官から嫌われてしまうかもしれない。

 ということで、2年後に売上を3倍にする方法をもう少しロジカルにまとめてみるのが最終回のコラム。

 まず、売上をあげる(3倍にする)のはふたつの方法しかない。ひとつは「いまのお客様にもっと買ってもらうこと」ともうひとつは「新しいお客様にEコマースの存在を知ってもらい買ってもらうこと」。いわゆる既存顧客(リピート顧客)に対しての施策と、新規顧客に対しての施策ということになる。

*「新しく何をするか」より「今まで何をしてきたか」が重要

 前者の「いまのお客様にもっと買ってもらうこと」はデータ項目的には「転換率」や「客単価」に関わってくる。後者の「新しいお客様にEコマースの存在を知ってもらい買ってもらうこと」は「アクセス数」と「転換率」が関わってきますかね。どちらかといえば、「割り算」で算出されるデータ項目よりも「足し算」で算出されるデータ項目の方がアプローチしやすので、ロジカルに説明するときに題材にしやすいのは後者。「アクセス数」ですね。

 ここで「Instagramを強化する」とか「読者モデルの数を増やす」とか「高齢者をターゲットにした商品開発」とか、売上をアップさせるための「新しく何をするか」に話がいきがちになるのだけども、まずやりたいのは「新しく何をするか」よりも「今まで何をしてきたか」。「今まで何をしてきたか」の中から売上やアクセス数により大きく影響を及ぼしている「施策」が見つかると良い。

 一見するとソーシャルメディアとかEコマースサイトのデザインが売上に影響をおよぼしているように感じるかもしれないが、実は実店舗で配布しているカタログが売上に大きく影響していたり、過去に購入してくれたお客様への季節の(SS/AWの)ダイレクトメールが売上に大きく影響していたりするかもしれない。売上という「受け皿」はEコマース(ネット)だったとしても、その導線になっているのはカタログやダイレクトメールという「リアル」だったりもするわけだ。この整理がまず重要になる。

*マーケティングを整理して、「結果が出ているところ」を強化する

 新しいアイデアを出しそれを施行するよりも、現状「結果が出ているところ」を探し出し、そこを強化ポイントとして掘り下げる方がリスクも少なく、なおかつ結果につながる可能性も高い。こんな話を書いてしまうと、学生的な「面白い発想」が薄い人間だと思われてしまうだろうか。仕事でも部活でもサークル活動でも受験でも、関係なく「結果が出ているところ」を強化する指向性は大切だと思うのだが。「新しいアイデア」はその上でプラスすれば良い。

 ―――ということで、とあるA社の入社試験課題『A社(自社のこと)のEコマースの売上を予測し、2年後に売上を3倍にするためにはどうすればいいかを考えて提案してください』について考えてみた。ちなみに言うと、このA社のこの課題による入社試験はすでに終わっているので、この内容も誰にも影響を与えられない状態になっている。同じような課題を出された人はぜひとも参考にしてください。「ネットで参考資料を探す」というのも現代では大切な提案でしょう。