ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「名前を覚える」というコミュニケーションの基本【no.1738】

 「名前を覚える」というのはコミュニケーションの基本のひとつだと思う。自分が「私の名前なんて知らないだろうな」という人に自分の名前を呼んでもらえると素直にうれしい。私自身もそんなことを何度も体験した。

*中学時代の中村先生の話

 中村先生は4組の担任の先生だった。私は3組。隣のクラスだが、交流はほとんどない。中村先生は古文の先生だったが、1組から3組までは手塚先生という女性の先生が古文を担当していた。中村先生は4組から6組の古文の担当だった。授業でも一緒になることがなかったわけだ。

 中学2年のある日のことだった。「石田、ちゃんと勉強してるか」後ろから誰かに話しかけられた。普段話をしている人なら不思議なもので顔をみなくても誰だかわかるものだ。ただ、この声には聞き覚えがなかった。そしてそれは中村先生だった。担任でもない、授業を受けもってくれているわけでもない、クラスを超えて噂になるような目立った生徒でもない私の名前を覚えてくれていたのだ。

 それまでの小学校6年間と中学の1年半、そして習い事や地域の活動などで何も絡みがない人に名前を呼ばれることはなかった。初めての経験で戸惑ったものだが、名前を呼んでもらえたことが素直に嬉しかった。

*「名前なんて知らない」と思っている人に呼んでもらえる

 普段の人生の中や仕事をつうじてたくさんの人に出会うと思う。最初は先輩や上司が多いし、会社の社長や役員、会合の会長など、目上の人もたくさんいる。こういった「どうせ自分の名前なんて知らないだろう」と思っている人に名前を呼んでもらえるとすごくうれしい。

 自分ごとだと、所属しているビジネスプラットフォーム協議会の倉重会長に顔と名前を覚えてもらったときや前職の社長に初めて「あだ名(まこっちゃん)」で呼んでもらったときなど、他にもいろいろあるんだけれども、すごくうれしかった。自分の存在を認識してもらって、存在を認めてもらえたような気がした。

 人の名前を覚えて、名前を呼ぶということにはそれくらいのパワーがあるということなのだ。

*まずは頑張って人の名前を覚える

 私に名前を呼ばれても喜んでもらえるかはわからないし、喜んでもらえる存在でもない気もする。だが、自分が名前を覚えてもらえて、呼んでもらえてうれしかった経験もあるので、できる限り早く・確実に人の名前を覚えて、名前で呼ぶように心がけている。さすがに中村先生のように普段付き合いのない方まで名前を覚えるのは難しいので、せめて1度でも会った方は確実に。コミュニケーションの基本だと思う。

 たまに(というかしばしば)シニアの方で、何度もお会いしているにもかかわらず名前を覚えず、「あなたは~」と声をかける人もいるが、もったいない。コミュニケーションを高める機会をちょっとしたことで逃してしまっている。たしかに年齢とともに物覚えが悪くなってくるのだが(私も記憶が出てきづらくなってきた)、こういうところこそ頭の鍛えどころだ。

 また名前が出てこなくても、周りの人の話を聞いていればところどころ忘れている人の名前が出てきたりもする。そこで名前を思い出して、すかさず名前で呼ぶのだ。このくらいの気遣いを面倒がってはいけない。

*名刺に会った日を書く人

 名刺交換をすると名刺に会った日付とどこで会ったか(勉強会や交流会、会合など)を書く人がいる。昔は人様からいただいた名刺に文字を書くなんて失礼だなーと思っていたのだけど、いまとなってはその気持ちはわかる。きっときちんと誰かを覚えておくためのひと工夫なのだろう。

 まあとにかく、名前を覚えて、名前を呼ぶだけでうれしい気持ちになるなんて非常にお得なことではないか。少なくとも私はとてもうれしい。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 7.Eコマースのひと工夫

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。