ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

事業の状況に関わらず「原則」を「継続」する【no.1739】

 ECMJコラムを読んでいるほとんどの方にとっては当然の話だろうとは思いますが、マーケティングの「魔法の杖」はありません。「これをやれば『すぐに』『必ず』売上が上がる」なんて方法はないですし、ECMJというコンサルティング会社も残念ながらそんなことは知りません。

 こういった質問や相談はもう無いだろうなと思っていたのですが、先日「いやー、会社で新しい事業が必要だという話になったのですが、いいネタありませんか?」ということを聞かれまして、心の中で大きなため息をついた次第です。いやいや、仮にも部課長の皆さんが集まっている会議でそんな話をしているのか、と。

*「魔法の杖」はなくても、「原則」はある

 ただ「魔法の杖」はお伝えすることはできないですが、鉱脈を探すための「原則」はあると思います。これはあくまでひとつの「方法」であり、コンサルティングとしての理論ではありますが、ギャンブルをするよりは失敗したときのリスクが下がります。あくまで「失敗→失敗→成功→失敗→大成功」という順番を踏むための方法です。

 「大失敗」を踏んでしまったらすべてが終わりです。「データをとって、カイゼンする」もできません。そしてこういう直感的なアイデアをコンサルタントが押し通すことはできません。これは事業の全責任を負っている経営者の判断力でしかできないことです。もちろん、コンサルタントはその決定を全社的に推進させるための強いサポートをすることができます。

*データから兆候を探す、打ち手を売って兆候を探す

 鉱脈のタネを探すためのポイントは理論的にいえば「過去のデータ」にあります。これまで日々マーケティング活動をおこなってきた中で、お客様の反応が良かったものだったり、自分たちの知らないところで話題になったりしていたものがあるかもしれません。日次、月次のデータと施策や改善点、特筆事項のデータを残していれば「あれ?なんでここは数字が跳ねているのだろう」という兆候がみつかるはずです。まずは自社自身を見返すことが次のビジネスへのヒントというわけです。

 まずは過去の履歴とデータを整理して、その裏側にあるストーリーや仮説をみんなで話し合ってみましょう。あくまでアイデアですから、どんな意見でも構いません。ディスカッションを進めると、皆さんが納得できるいくつかの仮説にたどりつくはずです。一度にすべての仮説を確かめることはできませんから、優先順位を決め、ひとつの仮説を確かめます。ここは「行動→データ検証」です。実際に行動をしてお客様からどれくらいの反応があるのか、データを使って成果検証を行うのです。

 大きな予算と時間をかける打ち手ではなくて構いません。まずはスモールスタートからデータで兆候を探していきます。大切なのは「一定期間徹底する」ことで、徹底すれば早めにその効果がわかります。残念なのは徹底しきらなかった結果、「時間をかけたのに良かったか悪かったかわからない」という状態です。

*「原則」に時間をかける、だから重要なのは「継続」

 先に書いたとおり、「これをやれば『すぐに』『必ず』売上が上がる」なんてものはありません。そんなことを考えることさえいけません。鉱脈にたどり着くには時間がかかります。ただ「原則」に沿って時間をかけることで、成功にたどり着く可能性が高くなり、可能性にたどり着く時間が短くなるのではないか、というだけです。

 ですから、大切なのは事業の状況の良し悪しに関わらず「原則」を常に「継続」することです。状況が悪くなった途端に始めてもやっぱり時間はかかります。むしろ時間がないからこそ「魔法の杖」を求めてしまうのかもしれません。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。中小機構販路開拓支援アドバイザー。